平成元年式のアルトバンを所有していたが滅多に乗らず、令和三年になってとうとう車検を通さずに廃車とした。カーオーディオだけは自分なりに手を入れてゴキゲンだったが、クルマってのは存在自体がリスクだし罪である。全てのドライバーが等しく罪を背負いつつ、運の悪い奴が罰を受けるというのが自動車社会の理だ。
という訳でチャリを漕ぎ、松本から逆風と雨のなかゆっくり一時間余。信州朝日村ロゲイニングの主会場となるトレーニングセンターに到着する。このご時世に諸対策をした上でイベントをやってくれるのがまず有り難いし、花粉症持ちとしては天恵の雨。去年7月の長和町ロゲでは途中の降雨に対応できず惨敗した。その反省から今回は地図を始めから袋に入れるし、カメラも防水のスマホで代用する。種目は男子ソロ。1月の松本あめロゲ(疫病中止)でチームを組むはずだったガクさんは強大なライバルとなる。
体育館内はやはり寒い。けどカッパ・ウインドブレーカーの類は脱いで、置いていくことにする。記念撮影の後に地図オープン。概ね予想通りの競技範囲だが、北の古川寺(こせんじ)から旭城に登る道が書かれていない。代わりに尾根を東西に結ぶ山道があり、ぜひチャレンジしたくなる。コントロールは東側の平地に多いが、とりあえず西の谷から攻めて、北の尾根道で時間半分、残りの時間で東の平地を回る戦略で行こう。
正午、本降り雨のなか3時間制限の競技がスタートする。いきなり西へは向かわず、先に古川寺付近のコントロールを回収した方が綺麗に繋がりそうなので北の平地から。会場すぐの押しボタン式信号が赤なので、ここは真面目にボタンを押して待つ。車道側が赤になったタイミングでつい見切り発進、だが青になったのはもう一方の車道側で、自分は勢い渡ってしまう。他の参加者達はちゃんと待っているし、軽蔑の眼差しが背中にたくさん突き刺さって決まりが悪い。54番(芦之窪神明宮)往復でスライドした選手に「信号守りや〜!」と怒られ、この時点でメンタルが崩壊した。仮に入賞しても指を差して批判され、その場で失格するのではないか…。
ともかく競技中は気を取り直してベストを尽くしたいが、因果応報か、ランパックのドリンク用胸ポケットに入れているスマホ(AQUOS sense4)が誤作動を繰り返すようになる。競技中セキュリティを切ってあるところに、水滴と胸部静電気の影響だろうか。画面が勝手に点灯してあらゆるアプリが立ち上がったり、ブラウザのタブが大量に開いて意図しないアクセスをしまくっている。それはまるで「悪魔のイタズラ」のよう。これではコントロールを発見する毎にカメラアプリを立ち上げるにも手間がかかり、非常にテンポの悪い戦いになる。スマホを機種変更したばかりで、このようなケースで試用してなかったのも不運だ。…走行ペースがちっとも上がらない。スマホ収納場所を変えたところで余計悪化する可能性もあると思い、結局なんら対策をせずに進む。
最西端の82番(鉢盛山登山口)は登山マラソンで思い出深い。少し戻って、あさひプライムスキー場の130番(人工降雪機)は、一部雪の残るゲレンデを逆走させるのが面白い。いよいよ北側の山中に入っていく。つーか何で小走りしているのに、徒歩で来るひとに追い抜かれるんだろう。115番コントロールフラッグまでは追いすがったが、以降突き放されてしまった。時間もだいぶ押しているので42番ピストンはカットして84番(旭城跡)へ向かう。獣道めいたルートも多く、ちょくちょく迷いタイムロスが積もる。たいてい最初に突っ込んだ小径が正解なのに、つい疑心暗鬼になって戻っちゃうんだよなぁ。トレランシューズにロングタイツで笹薮を駆け抜けるのは気持ち良い。ああまた迷った。ウオッチに付けているコンパスが劣化してて、全然北を差さないから困る。
下山にも想定以上に時間が掛かり、行けてない所を大量に残している。予定より相当カットしないといけない。スマホの誤作動は相変わらずだし。もう絶望的な気分になりながら63番(古銭出土跡)コントロールに着くと、スマホがとうとうハングアップしている。「悪魔のイタズラ」ここに極まる。どう操作してもカメラが立ち上がらない…。コントロールを発見している以上、撮らなきゃ死んじゃう! 仕方なく再起動を掛けるが、一体何分のロスになっただろうか。
やっと、俺のロゲイニングが面白くなってきた。
残り2.7kmの登り基調を、11分半で走らないといけない。どこにそんな力が残ってたんだって言う猛ダッシュを開始し、すぐに呼吸が苦しくなるけどスピードは落とさない。スマホを収納せず手に持ったままにしたら、ようやく誤作動しなくなった。始めからそうしろよ…。ラスト河岸段丘の坂で3時間をオーバーするが、じゃあせめて1分以内の遅刻に収めよう。こうしてフィニッシュタイム3時間00分55秒、つまり減点100点な。ロゲで遅刻をするのは初めてで、むしろ清々しい。
距離27.9km、積算標高差750mを走り終え、セルフ集計へ。あれ…「悪魔のイタズラ」はもう一つあった。確かに撮影したはずの115番コントロールフラッグの…写真データが消失している。時節柄、他の人と見せ合うクロスチェックは無いのだが、得点証明がないまま加算すればますます決まりが悪く、立ち直れなくなる。こうして合計得点1145点は男子ソロ41人中24位で、上位入賞どころか半分より下。長和町ロゲより酷い惨敗となった。反省点が多すぎでどこから突っ込んでいいか分からないが、ちゃんと全部覚えて次に活かすしかない。全ての悪事をこうやってテキストにさらけ出すのも一歩だろう。
表彰式も上の空。ライバルのガクさんほかGさんBさんも入賞されていないようで、イベント供給不足の時世、相当な強豪たちがここに集結していたようだ。チャリでの帰り道も雨。松本の吉野家で豚丼をヤケ食いしつつ帰宅し、参加賞のたっぷりほうれん草もさっそく炒めて食う。旨い。次戦のFDG in みよし(3時間ロゲ)はきっと上手くやる。その後には善光寺ウルトラ175kmも続く。怯まず戦え。
後日、スマホの誤作動に関しては設定「AQUOS便利機能」にある「指紋センサーをホームキーとして使う」のチェックを外せば解決することが判明。SHARPさんは悪くなかった。
総合点 | 1254-100(遅刻1分)= 1145/2000 | (最多点1764, 最少点31) |
コントロール数 | 18/30 | (最多26, 最少1) |
男子ソロの部 順位 | 24位 | (/出場41名中) |
総合順位 (各種チーム,女子含) |
37位 | (/出場85組中) (人数は出場138名) |