普段通り自宅で朝食を摂ってから、JR金町駅で輪行。近年は輪行と言えば小径車でサッと済ませることが多いから、ランドナー(エンペラーTM)は時間が掛かるしデカくて重いわ。常磐線を水戸まで乗り、鹿島臨海鉄道のホームへ行くとガルパン列車の3号車とIV号車が入線している。ラッキー、だけど大洗駅に着いてからもつい写真を撮り回って、時間がみるみる過ぎていく。はよ自転車を組め。
激混みの海鮮料理店などを横目に、大洗磯前神社にお参りしていたらもう正午を過ぎてしまった。ほぼ午後だけのサイクリングでどこまで行けるのか、クロモリ重戦車パンツァーフォー! 海門橋で河口を見てから、関東第三の大河「那珂川」を遡る旅が始まる。けどまずはスーパーで昼食…。
土手道が見つかればそれを、そうでなければ国道123号などを北西に進む。強い追い風、そのまま! けど仕事の疲れや久々なキャンプツーリングという不慣れ感で、荷崩れを起こすなどヘロヘロな展開。もうちょっと気をつけないか。栃木県に入ると八溝山地と交差するため、県道27号「和の道」で一旦大きくアップダウンする。クルマ通りが少なくて雰囲気は良い。
EV列車が終着する烏山からまた平坦な、国道294号を北上する旅。そのまま那珂川の本流沿いに黒羽で泊まる予定だったが、大田原中心市街地の方が何かと揃ってそうな気がするので少し西の国道400号に進路変更。つまり蛇尾川(さびがわ)。前方に左から高原山・大佐飛山地・那須連山と三つの山塊が見えてくる。あした目指すは一番右だ。
大田原はNHK天気予報等で栃木県北の代表都市としているが、なるほどこんな街だったか。追い風に助けられて、ほぼ午後だけで114km、400mUP走れた今日。手頃な食堂は見付けられず、スーパーで買い食いして城跡公園でゲリラキャンプ(自炊無し)。明日も晴天らしい、ってことはどうしよう?
龍城公園を散歩してから出撃し、チャリ30分ほどで那須塩原駅に着く。大田原市は中心市街地に鉄道は無いけど、新幹線駅は意外と近いのね。黒磯の晩翠橋で那珂川を渡れば、那須街道でいよいよヒルクライム開始だ。車道は渋滞気味、だからあれほどGW中に観光地へクルマを出すなと。
ふと右を見ると戦争博物館なる施設があり、前に97式中戦車チハたんが置かれていてびっくり。ここに知波単学園を建てよう。休館中とのことだが再開するのかな? 温泉街を経て絶景クライマックスのボルケーノハイウェイへ。九合目行きロープウェイ駅からは2時間待ちのアナウンスが聞こえてくる。歩いたほうが早いずら…。
すっかり体力を使い切って標高1,470m、峠の茶屋に到着。さっさと引き返して那須岳の西へ回り、那珂川源流の碑を見に行く予定だったが・・・雲ひとつない青空、おニューのザンバランシューズ、これは上へ登らないと男の恥だ。頑張って♪張り切って♪ザンバランでえいえいおー!
こんな脚でも他人よりは急ぎながら、右手に朝日岳の山容を眺める登山道。鞍部にある峰の茶屋跡で一休みのち、徒歩合計1時間で茶臼岳1,915mに登頂! まぁ小バエやロープウェイが吐き出した人々でわちゃわちゃしてて、那珂川シートゥサミットRTA達成ヤッターという気分ではない。少し離れた所に腰掛けてパンをかじりながら、やっとぼーっとする。お鉢周りも絶景に次ぐ絶景。遥か遠くに雪を被っているのは越後や会津の山々だろうか。
空気はややガスって、関東平野のほうは遠くまでは見えない。あと那須連山の主峰はここだが、福島県境の三本槍岳の方が2mだけ高いらしい。いずれ登る機会があるだろうか。峠の茶屋に下山してきのこ汁を頂き、深刻な塩分不足を解消する。奈須にきのこは欠かせない。ダウンヒルは大丸から八幡回り。つつじ吊り橋をふらふら散歩していると、怖くて渡れないと言う人の姿も。歴史的な共同浴場「鹿の湯」はやや混みだが、温度の異なるいくつもの湯船が素晴らしい。48℃チャレンジは20秒くらい。
南麓を西へ、乙女の滝に寄り道しつつ那須高原スカイラインのアップダウンをこなすと板室温泉へ。那須岳と引き換えに那珂川本流の源流部は諦めたので(熊鈴を忘れてたし)、ここが今回の旅で見る最上流となる。たくさんの鯉のぼりが泳ぐ景観は、ありきたりだけど感動してしまった。自転車で来たがゆえの旅情だろう。
ゆっくりムードが一転、塩原温泉の入浴時間に間に合わないのでは?と慌てだしている。国道400号の箒川渓谷に入って、疲労体でこれ以上無理はできず「みかえりの郷 彩香の湯」という施設にピットインする。風情には欠けるが一応塩原温泉のひとつだし、身体を洗い易いのは良い。あとはなるべく汗をかかないように温泉街まで走ると、あてにしていた食堂はみんな閉まっている。パリピ向け?だが「花水木」でいいや。やっとまともなメシにありついた。
箒川沿いの公園で今夜もゲリラキャンプ。満月近く星空は今ひとつ、早く寝よう。この日の走行93km、1720mUP(+登山5.5km、450mUP)。
標高550mの朝は寒い、さっさと出撃しよう。樹齢1500年と云う塩原八幡宮の逆杉は、どきっとするような巨木だ。高原山の西麓を南下する日塩もみじラインは概ね斜度8%以内に抑えられ、早朝でクルマは滅多に来ないし、新緑爽やかなヒルクライムに心が洗われる。だが前日までの無理が祟って、体力の限界が近づいていた。標高1,270mくらいが最高地点か。富士見台などかつては名所だったっぽい所も木々が茂り、眺望は効かない。太閤下ろしの滝くらいは観て行こうか。
下り坂で冷え切った身体を温めるため、野岩鉄道龍王峡駅あたりを虹見橋くらいまで散策しておく。鬼怒川温泉の廃ホテル群は目の保養か。東武鉄道のSL大樹とすれ違いつつ、旧国道121号の杉並木街道を経て大谷川(だいやがわ)からは日光連山の雄大な眺め。つい撮影スポットを探し回る。東武日光駅前では栃木土産を調達しておこう。ついでにバームクーヘンを立ち食いして昼食代わりとする。街中は酷すぎる渋滞…だからGW中に観光地へクルマを出すなとあれほど。
足尾山地を南西に越える細尾峠は通行止とのことで日足トンネルで良いのだが、トンネル内部も登り坂なのがもうキツかった。神子内地区はどこか桃源郷めいて、旅のフィナーレに相応しい。間藤駅に到着したら銅山観光をする余力なく、さっさと輪行してわたらせ渓谷鐵道に乗り込む。輪行だって体力を相当に消耗するもの、俺は詳しいんだ。この日の走行83km、1370mUP。
乗客の大半はこの終着駅で折り返し乗車している。西側席に座ってぼーっと景色を眺めていると、だんだん混んで立ち客も出てきた。輪行自転車は今どき珍しい手回り品切符制で、アテンダントさんに支払う。車内一斉にギュイッ!ギュイッ!…この列車運行に支障が無ければ一安心と思ったが、能登地方で震度6強の地震が発生したらしい。向こうは大変だ。
桐生まで完乗はせず相老で東武線に乗り換える。有料特急は満席とのことで、各停と急行を乗り継いで何とか葛飾へ帰る。諸事情でスマホは携帯したが、期間中SNSは封止していた。自分の旅らしい旅はすごい久々、3年ぶりくらいかなあ。また糸の切れた凧のように旅をしたい。