Mountain Cycling in NORIKURA 2022

第37回 マウンテンサイクリングin乗鞍 参戦記

2022年8月27〜28日

日記

8/27(土) 復活の松電、復活の乗鞍

新宿発、8時ちょうどのあずさ5号で輪行。きっぷは長野県の松本まで買ってあるが、停車駅一つ手前の塩尻駅で途中下車し小径自転車カラクルSを組む。11月に開催する信州朝日村サイクルロゲイニングのプランナーを仰せつかっているので、その調査ランを重ねる必要があるのだ。予想外にあれやこれやと面白そうなコントロール（特徴物）候補が芋づる式に見つかり、うぅ…やっぱり時間が中途半端に足りない。適当に切り上げて松本駅まで急走し、また輪行。この頻繁な折り畳みワークが要るから今回はカラクル必須なのだ。乗鞍高原までの往復切符を買ってアルピコ交通上高地線（松本電鉄）に乗り込む。

松本在住の頃はジョギング旅の片道としてよく利用していた「松電」。昨年八月の豪雨で田川橋梁が破損し、このまま廃線とも云われたが今年六月に奇跡の復活を遂げた。この旅の最大目的がこれ。やっと乗りに来ることができて感無量。がんばれ鉄道、まけるな公共交通機関！

鉄道は新島々駅までしか敷かれていない。この先、乗鞍高原へは観光バスめいた路線バスに乗り継ぐ。本日は自転車愛好者の利用が多いためバス輪行専用の増発便があり、そっちに案内される。（私の以外は）高額である“機材”に配慮して、床下トランクでなく座席に置いて良いとのこと。何ともシュールな光景、つーか全然儲からないぞこれ。アルピコ様ありがとうございます。しかも沢渡を経由しない直行便、助かる。

こうしてヒルクライムの受付に到着。37回目という歴史を誇る乗鞍も、大会名が「乗鞍ヒルクライム」に変更されてからは初開催だね。今回は疫病対策もあり、ゴール行きの荷物を当日早朝ではなく前日に預けておくシステム。その分どうしても総荷物が増えるので（合羽が二組必要など）、輪行組にはちと辛い。でもしっかり補給食や防寒着などを用意して入れておく。安全面でヘルメットより大事なことだ。

一時の雨は止んだが、路面は当面ウエット。泥除けを外してきてしまったチャリで宿までどう下りるか悩ましかったが、たまたま同宿のI川さんにエンカウントし、クルマに同乗させて頂いた。民宿「寿家」さん、今年も世話になる。一昨年、昨年とも大会が無く数名ずつしか来なかった。今年は約二十名が集まり、もう賑やか！ 賑やか過ぎるのもほどほどに…。

私をこの集団に引き合わせたG蕃さんに会うのも久しぶり。またカラクルシリーズを製造してるテック・ワン社のH行さんに、私のカラクルSの調子を直接診て頂けたのも好運。整備や輪行のコツ、目から鱗が落ちる。

温泉に食事、酒、就寝。

8/28(日) チャージ3回、フリーエントリー、ノーオプション乗鞍バトル

早朝、時折ザーッと雨が降る。裏庭の蕎麦畑で雲の様子をじっと眺める。山の端が見えたり隠れたり。こんな景色も、コンクリートジャングル住まいの今となっては実際愛おしい。

そう、昨日のうちにゴール行き荷物を預けてあるので、大まかに指定されたスタート時刻前まで宿でのんびりしていられるのだ。・・・よっしゃ止んだわ。ゆっくり25分ほどかけて登り、スタート会場に8時前到着。試供品のアミノバイタルを頂いたら適当にスタート地点へ移動し、G蕃さんに写真を撮ってもらう。チャージ3回（3年ぶり開催）、フリーエントリー（スタートタイミング自由）、ノーオプション（どノーマルのカラクルS）バトルが始まる。

身体が暖まっているうちにスタートを切れたのも良い。脚も自転車も絶好調～！ チャリがランドナーに比べて3kg軽くなったぶん、体重増で相殺しているから大丈夫だ。そう、ヒルクライムのトレーニングなんてほぼやってないのに調子に乗りすぎた…。落ち着け！落ち着けない！ 第1チェックポイント通過が約24分で、想定より2分遅いながらまだ希望がある数字。さあ巻き返すぞと、気持ちだけは意気込むものの脚が全然付いてこない。呼吸が少し休めと指示している。同宿の仲間を見つければ「ベンガベンガベンガ！」と声を掛けるが、私もそうとうキツい。

大勢と抜きつ抜かれつの攻防は最高に楽しい、本当に久々な感覚だ。フラットペダルゆえ、引き脚が使えないのは明らかに不利だが、やはり脚腰がなっとらん。呑気でおめでたい顔してる太陽が差し高揚するも、第2チェックポイント1時間1分半と落ち込む。苦しいけどここから少しでも気を抜けば、あっという間に1:30'をもオーバーしてしまうぞ。沿道に赤い実叫ぶナナカマド。ハイマツの向こうに乗鞍最高峰の剣ヶ峰がどーんと登場し、相変わらず気持ちだけはハイだ。

「あと300m」表示から、何と長いことか。ラストスパートも続かないほどへろへろになりつつフィニッシュ。だが「一分一秒でも速く！」ともがく90分間は人生なかなか無い一瞬のきらめきだ。面識の無い周囲の人々と健闘を称えあったり、自転車談義をしたり・・・みんなこの日を待っていたんだなあ。

しかし標高2700mの風は冷たい。早く荷物を受け取って着込んだり栄養補給をしないと。時折霧雲が出没するなか、ぼちぼち同宿の仲間も集まってくる。例年は富士見岳まで歩いて往復したりするが、今回はだらだらしちゃった。こんな時間も貴重だ。おや、NHKチャリダーのロケもやってるわ。こんな究極の屋外でまで、マスク着用撮影は残念だが。

下山は品行方正に。だが前方が詰まっている状況で無意味な割り込みを仕掛けてくるガキには体当たりをかます（ビビらす程度）。お前がマッポーを望むなら、生き残るのはこの俺だ。さてスタート会場に戻っても、今回はリザルトのQRコードが掲示してあるだけ。素直に読み取って確認すると、1時間27分28秒とのこと。こりゃ自己ワーストだわ。

帰りのバス時刻が迫り、寿家に戻りばたばたと風呂、昼食。だがK島さんがクルマで新島々駅まで送ってくれると言う。バス券は無駄になるが、乗り継ぎをミスるとあずさ券がパァになるところだったので、これは有り難い。幹事のM輪さんをはじめ、ずいぶん多くの方に世話になった。これを良い循環にするのがいずれ私の役目になろう。

おかげさまで新島々駅で予定より一本早い電車に乗れた。このオレンジ塗装が、豪雨災害による上高地線不通の十ヶ月間、ずっと松本駅西端のホームに取り残されていた「モハ10形リバイバルカラー編成」。そのまま廃車になる運命だったが、別編成が落雷被害に遭うという事情で一転ネクロマンシーされ、今日から復活運転されている。その定期運用第一便という訳で、感慨深い。

松本駅前クリエでコーヒーとケーキを頂く。これも松本在住時代はまず行わなかった、余所者だからできる贅沢か。「今までで一番楽しかった乗鞍」。でも一抹の悔しさを胸に、土産を買ってあずさに乗る。暑かったはずの東京に、もう秋の風が吹いている。

結果

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