伊南川沿いの朝霧

自転車ツーリング記

奥会津キャンプ場キャンプ

2025.4.30[水]-2[金]

日記

4月30日(水) 伊南谷道中
五十里(いかり)ダム

GW中の平日が職場の休工となり、その三日間をツーリングに充てる事にした。今年も行き先は「アニメで観たから」というざつなもの。とりあえず足立区の西新井駅でランドナーを輪行し、北へ向かう。緊急連絡の可能性がほぼ無くなったので、久々にスマートフォンを持たない旅だ。情報源はツーリングマップのみ。がたんごとん、このぼーっと電車に乗っている時間が良い。

東武鉄道の最果て新藤原駅で輪行を解き、会津西街道を北に向かって走り始める。いきなり登り坂だが、新緑ってこんなに綺麗だったんだ! もう帰ってもいいよと思うくらい満足する。この旅、どうなっちゃうのか。五十里ダムを見て、道の駅湯西川でダムカレーを頂く。ダム湖の風景はあくまで美しい。上三依塩原温泉口駅の自販機で給水していると、乗客ゼロの路線バスが出発していく。

道の駅番屋の蕎麦ソフトクリーム

初日は昼からの走行で80kmを進む必要があるため、時間が押している。秘境駅とされる男鹿高原駅だけ寄り道するが、山王峠は無理して通行止の旧道に突っ込むような事はせず、大人しくトンネルで抜ける。栃木県から福島県に入って西へ折れ、中山峠の新道アップダウン。なかなかの高度感で道端の残雪が多く、もう寒い。人気の少ない道の駅番屋で蕎麦ソフトクリームを食ってく。他の見どころはだいぶスルーした。

沼田街道を北上して伊南(いな)地区の久川ふれあい広場キャンプ場に到着し、700円を投函。近くの久川城跡は九年前に訪れている。テントを設営してからフクエストアーへ買い出しに行ったら、閉店ギリギリ時間で危なかった。おかずになるのは練り物くらい。先日に(また)肋骨を負傷してしまい、今度こそ自炊用具持参キャンプをと意気込んでいたのを諦めて、夕食朝食は全て買い食いとなる。もう一つアテにしていた古町温泉は定休日、ありゃ。

久川ふれあいキャンプ場星景

夜、星空はなかなかのもの。三脚すら持ってこなかったのは残念。

5月1日(木) ごくらくたごくら
田子倉湖

早朝、あまりの寒さに手がかじかみテントの撤収作業がつらい。重ね着をして走り出し、自販機のホット缶コーヒーで生き返る。伊南川の川霧を見ながら北上を続ける。只見町に入り、伊南川は只見川に合流。寄り道めいて少し上流の只見ダム、そして田子倉ダムへ。このあたりの素晴らしさは筆舌に尽くし難い。さらに奥地には奥只見湖や尾瀬ヶ原があると云う、ロマンに満ちた深山幽谷!

西へ新潟方面に抜ける道は通行止らしい。旧田子倉駅まで走って浅草岳に登ろうなんてプラン無かったっけ。東へ戻って、J-POWER只見展示館では今回の旅で唯一の自転車旅行の方(シルクテンション)に会い、情報交換をする。只見駅前は、二十三年前に泊まった只見荘が懐かしい。真新しいインフォメーションセンター併設のカフェでマトン丼を食っていく。只見川沿いに下り、マッターホルンめいた蒲生岳などいちいち風光明媚。ここらへんの鉄道が部分運休中で残念だ。

大塩天然炭酸場

金山町に入ると炭酸水の湧き水スポットが二箇所あり、滝沢、大塩ともびっくりする味。さらに濁り湯の掛け流し湯倉温泉に入ったり…と五感に畳み掛ける情報量が膨大だ。この非日常感! スマホを家に置いて来て良かった。どのみちそんな物に齧り付く暇はないのだ。

かねやまスキー場の坂をひいこら越えて、二重カルデラの内側へ。本日走行100kmほどで沼沢湖畔キャンプ場に到着。料金は昨晩の倍で自炊無しで使うには高価いが、湖畔というロケーションは格別と言える。もう少し首都圏に近ければ盛況なのだろうけど、客は10組に満たない。それにしてもゲリラキャンプが基本の自分にしては、二日連続で有料キャンプ場ってのは珍しい。時間的に湖一周トレッキングは諦め、夕食の前後に散歩などする。星景撮影は、もう月齢が三日なのと、施設の街灯も明るくて不向きかな。

只見湖と田子倉ダム 蒲生岳 沼沢湖畔キャンプ場
5月2日(金) 会津バンゲリングベイ
第一只見川橋梁

鳥のさえずりで起きる最終日の朝、暖かくて助かるが天気は下り坂の予報。郡山までは進めないかも知れない。名残惜しくカルデラを水沼方面へ離脱してから、ロックシェードやトンネルのアップダウンを東へ向かう。三島町の第一只見川橋梁ビュースポットでありきたりな鉄道写真を撮る。APS-Cの15mm単焦点しか持って来ておらず、望遠ズームレンズも持ってくるべきだったと少し後悔する。

柳津町は福満虚空蔵尊(ふくまんこくぞうそん)の門前町との事で、せっかくだから寄ってみる。何でも赤べこ伝説発祥の地であり、堂内の天井に飾られた絵画も凄い。粟饅頭の名店がいくつも軒を連ねるなど、実は会津観光の特異点めいた街だった。いなばや菓子店でお土産を買っておき、その場でも一つ頂く。出来たてほかほか柔らかい。ちなみに広告をやたら見かけるのは小池菓子舗。

鶴ヶ城

昭和村だけ行ってなくて心残りだけど、奥会津地方とサヨナラして会津盆地に入る。強烈な向い風だし、東の方で雨が降っているのが丸わかりで、もう心が折れた。郡山は諦めて、代わりに若松をがっつり観光しよう。お前、いつも諦めてばっかだな。会津坂下(ばんげ)駅前では春日八郎の像が、ボタンを押すと歌う。赤いランプの終列車〜♪

という訳で鶴ヶ城を散策していると、平日なので小学生グループがたくさん、観光客に聞き込み調査をするフィールドワーク中だ。「会津に来たきっかけは何ですか?」ワイ「えっと…アニメで観たから…」「??」。ぽかんとしているが、確かに子供がえっちな深夜アニメを見ちゃいけません。最上屋でソースかつ丼を食ってから、その『ざつ旅』の聖地である東山温泉を訪ねると、1225段を登るという羽黒山湯上神社がある。俺が挑戦せずに誰がする?と思ったらオタクが一人先行して行った。段数を数えながら追うが、追い付かないし数も間違えたわ。往復を終えるとすっかり膝が笑う。

飯盛山さざえ堂

幕末の歴史には疎いが、飯盛山も寄る。さざえ堂のぐるぐる登って下りるやつ、やりたかったんだよね。すっかり本降りの雨に打たれ、白虎隊自刃の地にて我が旅も終焉を迎える。走行70kmに満たないまま会津若松駅で輪行し、磐越西線と東北新幹線で帰宅。ネットワークから切り離した三日間のスタンドアロン。デジタルデトックス的には物足りないが、想像外に濃厚な旅で実際すっきりした。残りのGWは自宅で出来る事をしよう。

奥会津GoogleEarth

リンク

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