難儀な行程が憂鬱だし天気予報が悪ければ止めるつもりだったが、三連休は秋晴れ…もう逃げられないぞ。新宿715発の臨時あずさはかなり混み合い、塩山駅での下車に気苦労した。小径自転車カラクルSの輪行を解いて9時過ぎサイクリングスタート、北へ行こうランララン。恵林寺前のコンビニで買い出しして、山梨市牧丘町のクリスタルラインに入る。早くも心が折れそうな急坂が続き、強そうなロードバイクが追い抜いて行く。とにかく慎重に進むしかない。
標高差1,100mを登ると琴川ダム湖。十分に風光明媚だし、普通のヒルクライムルートならここで試合終了ですよ。だが登りはまだ半分ちょっと。補給休みをしてから舗装1.5車線の川上牧丘林道に入り、さらに先を急ぐ。そんな急坂ではないし残り距離表示があるのは助かるが、あと1kmって所でいよいよエネルギーが枯渇し腕がじんじんに痺れまくる。塩分も不足しているか。立ちゴケの恐怖と闘いながら、峠の路上駐車群が見えて来た。
かくして塩山駅から3時間45分ほどで山梨と長野の県境、大弛峠(おおだるみとうげ)に到達! 小さくガッツポーズ。学生の頃からの宿題をやっと片付けたが、感慨に浸る間もなく補給食を貪る。標高2365m、日本一高い車道峠なんだそうな。
快晴とは言えず暗い雲が被りつつあるけど、ここまで来たからには徒歩15分と云う「夢の庭園」は見ておきたい。階段や岩場で大展望所に至ると、一気に標高差2000mを登って来たのが良く分かる絶景がスゴイ級。自転車乗りとして他ではなかなか味わえない感覚だ。下り階段で攣りかける脚を引き摺りつつ峠へ戻るとありゃ、お天気雨が降って来た。あわてて合羽を装備し先を急がねば。峠付近の滞在45分。
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ここからが最難関! 長野県側に下りる道はガレガレの未舗装路。ここぞとばかりにオフロードのオートバイたちは元気だが、なぜか押し歩きで登って来るロードバイク一台・・・私もライディングを諦めて押し歩くシーンが多い。下るほどにかろうじて乗れるようになるのだが、腕力がすぐに悲鳴を上げる。休み休み、一体どこまで続くのか。
ようやく舗装路に出て、白菜畑の中をぶっ飛ばす。舗装路ってこんなに快適なんだ! あちばけダムを見学しようとか、川上村ナナーズで一休みしたいという予定もぶっ飛ばして、信濃川上駅1555発ハイブリッドトレインに何とか間に合わせた。輪行で佐久市に向かう。これがカラクルS標準仕様の機動力だ!と言いたい所だが、折り畳み自転車に掛けて良い負荷ではなく、ヒンジ・ジョイント等にダメージを蓄積させてしまったと思う。タイト過ぎる計画にもそろそろ身体が付いて行かない。
滑津駅で降りて、麺匠佐蔵で安養寺ラーメンを頂く。この全身疲労困憊では何を食っても美味い。安養寺みそ最高、ツマヨウ寺たすかる。中込のホテルナカジマにチェックインすると、Wi-Fiがロビーでしか使えないわ。そう言えば元々の予定は群馬県から内山峠を越えてここに宿泊し、うすだスタードームを見学する筈だった。数週間前にカフェピラータ仲間のH君が大弛峠を制覇したとの報に接し、気が変わったのだった。かくしてもう脚が動かず、スタードームは諦める。
あまり回復してないのだけれど、朝食を摂らず北へ行こうランララン。夏待ちの聖地「あの道」を走ってみるが、浅間山は雲の中。しなの鉄道小諸駅から戸倉駅まで輪行する。ちょっと早く来すぎたし、歯ブラシでチャリの泥を落としておこう。
上山田の千曲観光局で500円のイベント参加費を払い、スタンプ台紙となるサコッシュを受け取る。「チクマサイクリングクエスト4」…去年はロゲイニング形式で1day開催され、自分もコースプランナーとして関わった。今年は元々のスタンプラリー形式に戻して実施中、テーマはスイーツである。早速回りたいが、近くにある店は10時からの営業が多く、ぐったり空腹のまま長めの作戦タイムとなる。
ようやくスタート。サコッシュ提示でオマケ等の特典を受けつつ「ラパンエレガント」でジェラートを、「フロスタ」でフローズンヨーグルトを頂く。「かめ乃湯」入浴券が付いているのでさっそく温泉も堪能、これだけでほぼ元が取れちゃうね。
更埴方面へ北上しつつ「メリメロカフェ」でカラメルバナナチーズケーキとコーヒー、アバウトな地図を読み切れず迷って「ミミ」でカヌレとアイスティー、「杏花堂」で杏アイスを頂く。もうだいぶ血糖値が上がっている気がするので、歴史公園に自転車を置いて森将軍塚古墳と有明山将軍塚古墳を散歩。すっかり良い天気、来て良かった。
「ちゅら雲」でアフォガードを注文。美味しいけど、もうこの苦苦エスプレッソ部分だけ頂きたい。さらにイベント主催店である「カフェ自転車屋」で洋梨タルトと紅茶を頂く。聞けば全16店を制覇した参加者もそれなりにいるのだとか。私はその半分で良いずら。最後に「栄泉堂」で杏プリン等を買い、棚田をひいこら登って姨捨駅の待合室で頂く。
どの店も優しい接客、味わい深い工夫を凝らしたスイーツで、すっかり千曲市スイーツ博士になった気分だ。好みで言えばメリメロさん、甘さ控えめでカラメルの苦味が旨かった。ただ二箇所押すべきスタンプを片方忘れたのが心残り。あとスイーツラリーをやるならマイ塩を持参しないと、深刻な塩分不足に陥るとの知見を得た。
篠ノ井線最南端の塩尻駅までぐったり輪行、ビズホテルに宿泊。話題の紫金山・アトラス彗星は・・・見えないか。
何の日だっけ、祝日の月曜。ホテルの簡素な朝食パンを頂き、眩しい朝日を背に受けてチャリを漕ぎ朝日村役場へ。信州朝日村サイクルロゲイニング2024に、安曇野ステージより多くの参加者がいて羨ましい。サイクルロゲが徐々にだが軌道に乗っていることは嬉しいけれど。コンビニでカラムーチョを飲むように貪って、深刻な塩分不足に応急処置をする。松本ぽたりんぐクラブのM重さんとNaviTabiアプリのテストコースを回れば準備万端?
自分は一昨年の朝日ステージのプランナーであって、ここいらの地理には無駄に詳しい。今回はスタッフでなく一般参加者だけど、ガチで戦うには不公平感がある。ゆえに順位の付かないエンジョイクラスでエントリーした。作戦なんて臨機応変で良いし、ツーリングの荷物も全部背負ったまま。人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し…。
10時30分に一斉スタート。それからカメラのレンズ交換作業をおっ始めるし、道ものっけから大迷いしている有り様。みんなどこかへ行っちゃったが、慌てず風景写真を撮り回る。果樹園や信州の山々がもう有り難き幸せなのだ。だいたい一昨日の疲れが癒えてる訳がないし、急ぐべからず。
フィールドは鎖川上流を廃してて朝日村域が少なく、山形村・松本市・塩尻市に広く跨っている。コントロール選定はプランナーK村さんの百戦錬磨なセンスが面白い。さて一番離れた辺りで昼食を摂ろうとしたらちょっと遅くなった。のまどさんでたこ焼きを食べたかったがもう終わったと言う。向かいの蕎麦屋も、近くのパン屋も同じ返事。すっかり意気消沈して、もうちょっと進んでやっぱり空腹がキツいので、昨日のスイーツの余りを口にする。
気が付けばあと一時間。写真を撮るにも飽きて、もう頑張るしか無い。「限られた時間でいかに高得点を目指すか」に全集中している時が、ロゲイニングで一番輝く刹那。結局五時間制限を目一杯使って帰還するのだった。もちろん得点は上位勢に及ぶべくもない。安全教育を重ねて来たここのシリーズで事故などの問題はなく、和やかに閉会。次回の松川村ステージは別予定を立ててしまい、参加出来ない。後で地図だけ見せて貰おう…。
塩尻駅まで急いで戻り、駅そば店の営業時間にぎりぎり間に合った。今日初めてのまともな食事を終え、特急あずさで東京に下る。先々週の中野潤国際ギターコンクール、先週の定峰峠ヒルクライムとイベント続きだった怒涛の三週間、最後の三連休も怒涛だった。回復できるのかこれ。