小径自転車カラクルSを輪行し、小川町駅を目指す。都営新宿線の駅ではない。東京と上州を結ぶ東武東上線にあって、池袋発の電車が到達できる限界がさいたま県比企郡小川町。ここから先は群馬県、そう誰もが認める地の果てである。
ところが、急に思い立って坂戸で一旦下車する。支線の越生(おごせ)線に乗り換えてみたくなったのだ。初乗車! そこそこの客数を乗せた四両編成は単線を進み、終点の越生駅に到着。周辺は寂れているように見えるが、わざわざ支線が存在するくらい昔は権威ある地方都市だったのだろう。
ってか午後には止むはずだった雨がしつこく降り続いている。こっちに来たことを少し後悔しながらチャリを組み、北へ慎重に走る。明日のレースに向けて泥除けを外してきてしまったが、湿潤気候の日本において、泥除けのない自転車は欠陥品だとつくづく思う。越生で八高線に乗り換えた方が良かった…。夕闇の小川町に到着する頃にはすっかり背中が泥だらけ。予定していた外食は断念し、小川町が創業地であると云うヤオコーでの買い食いとなる。
しまむら創業地にも寄ってから、ふじのや旅館へ。土木作業員向けなのか、土曜は他に客がいない。部屋はリフォームしてあるし鍵もちゃんと掛かる。楽天トラベルとかには登録されておらず電話予約だったが、今どき五千円で泊まれるなら穴場と言えよう。細かい事を気にしなければ。
未明、雨は止んだか。体調はまずまずで、昨日スーパーで買ったおにぎり・パンを朝食とする。宿を出てまだウエットな路面を、西の山間へ6km移動。秩父市とはさらに西方の峠で隔てられているし、流域的に比企郡であっても良さそうなものだが「秩父郡東秩父村」。かつての秩父は武蔵西部の大都会で、周囲への影響力が強かった。そんな歴史の名残を感じさせる、さいたま県唯一の村である。ふれあい広場駐車場に続々と自転車乗りが集まる。
定峰峠ヒルクライム。一昨年のプレ大会を経て昨年から本開催となっており、龍勢ヒルクライム亡き今、さいたま県唯一のヒルクライムイベントだ。日程が箱根ヒルクライムと被っているにも関わらず、募集定員250名は埋まったという。それだけ武蔵国民に愛されている山域と言えようか。私も今年に入って度々奥武蔵グリーンラインをツーリングしており、その流れでエントリーした。
当日受付のみで、受け取ったゼッケンはウェアを一旦脱いで取り付ける必要がある(女性は更衣室の用意あり)。計測チップはフロントフォークに付けるタイプ。ゴール地点行きの荷物を預けてしまうとちょっと肌寒く、アームウォーマーくらいは持っておけば良かったと後悔する。開会式のあと、槻川沿いに4km上流のスタート地点まで移動。まとまって行くのかと思えば各自ばらばら。自由なのは良いけど、県道分岐に立哨ひとりくらい要るんでないかい?
橋場信号を過ぎた所に集合。7時20分から25名ずつ号砲を受け、徐々に自分のクラスも前へ。げっ、フロントローになっちゃった。7:34にスタートを切る。
あっという間に上位勢は前方へ消え、斜度が緩いうちはなるべくペースの合う集団に付いていく。それもだんだん人数が減っていく。コースは上の方が道路占用申請の遅れで使えず、昨年より短縮されたとのことで約11.8km、570mUP。いずれにせよボリュームは美ヶ原や乗鞍の半分以下だ。どれくらいの強度で走ったら良いだろう? 自転車や身体に腕時計以外の計器は付けておらずペースは毎度カン任せだが、短いコースなりに消耗の激しいペダリングを心掛ける。
いっとき陽が射したように感じられたが、また暗い曇天に戻る。後半ペースアップを図るライバルに着いて行けない。秩父盆地との境である定峰峠を左折して奥武蔵グリーンラインに入り、さらに登りが続く。今回は白石峠がゴールとのことだが、あとどれくらいあるんだっけ? 残り距離表示なんて気の利いたものはなく、次のカーブを曲がれば・・・と頑張ってしまう。背後からまたライバルが迫る。
これがなかなか辿り着かず、すっかりへろへろになってしまった。これロングスパート失敗の流れじゃん。最後の右カーブでようやくフィニッシュ! 39分を何とか切ったか、ゼェゼェ肺がぶっ壊れそうだ。そのぶん達成感も大きい気がする。落ち着くまでだいぶ時間を掛けてからようやく「であそぶキッチン」提供の温かい豚汁を頂く。ありがてぇ。スタート時に目に付いた、カラクルcozにゆるキャン△ウェアな方に挨拶。私のカラクルSに「ちくわ」の小さなステッカーが貼ってあるの、良く気が付いたな。
晴れるどころかまた霧雨が降っている。けれどもう少し先、堂平山まで足を伸ばしたい。天文台が見えてくるとテンション爆上げだが、標高876mの山頂からは真っ白な景色しか見えない。これは再走確定だ。トレランの人に「自転車イベントやってるみたいですけど、白石峠に今行っても大丈夫ですか?」と聞かれる。全然大丈夫です。峠に戻って預け荷物と振る舞いのクッキー・水を受け取り、着込んで下山開始を待つ。寒いけど、今年の美ヶ原や乗鞍ほどの地獄じゃない。それにしても今年参加のヒルクライムは全部天候に恵まれなかった。
下山まで待たされた印象もあるが、無事下山後、表彰式は妙にすぐ始まる。大会運営は行き当たりばったりに見えてしっかり進行している。エキップアサダさんの統率力によるものだろうか。完走証を受け取ると38分51秒。富士ヒルめいたランク分けがあり、今年のコースでゴールド(sub32')・シルバー(sub37')にはまるで届かないブロンズステッカー(sub42')。男子40〜49歳の部で74名中41位と、半分より下位に落ちてしまった。ぶざまだお。という訳で来年の明確な目標が出来た。まずは痩せなくちゃね。
すぐ近くに「道の駅和紙の里ひがしちちぶ」があり、あやラーメンでラーメンと餃子を昼食とする。庭園や和紙資料館などをゆっくり散策し、むさし野の欅などの土産を買ったら、もう路面が乾いた頃かな。曼珠沙華咲き乱れる東秩父村を後にする。小川町駅前の三代目清水屋おからドーナツはおからだから実質ゼロカロリーな。東武東上線とJR武蔵野線を乗り継ぎ、実質千葉県の葛飾区に帰宅。まずは自転車のドロ掃除だ。
タイム (全長11.8km 標高差560m) |
38分51秒7 | (最速者27'19", 最終完走者1:18'20") |
男子40〜49歳の部 順位 | 41位 | (/完走74名/申込76名中) |
男子順位 (中学生・60歳以上含む) |
101位 | (/完走224名/申込242名中) |
総合順位 (女子含) |
103位 | (/完走233名/申込253名中) |