8/30-9/1 乗鞍の 涙を集めて遅し 千曲川
土曜の昼。特急あずさで松本に到着すると、以前は駅の券売機で買えていた乗鞍までのアルピコ電車&バス往復券の扱いが終了している事に気付く。不便になったが、JRがマージンをボリ過ぎていたなら仕方ない。とりあえず現金で電車きっぷを買い、新島々駅で改めてバス往復券をカードで買う。
標高1,450m。乗鞍ヒルクライムの受付会場である観光センターでバスを降り、小径自転車カラクルSの輪行を解く。さすがに下界の蒸し暑さは無い。同宿のK原さんに会い「まいめの池」まで同行して貰う。広大な高原に来たぞ感が素晴らしい景勝地だ。
宿に着くと、カラクルの製造元(テックワン社)のH行さんが自転車を診てくれた。特に後部のヒンジが緩んできているらしい。折り畳み自転車なんてそんなもんだろうと放置していたが、だいぶ脚力をロスしているかも知れない。とりあえず工具が無いし、明日はこのまま走ろう…。
夕食と温泉入浴後、屋外に出ると期待通り満天の星空。まだ上弦の月が沈み切っていないものの、少し目を慣らせば天の川がしっかり見えてくる。アレガ、デネブ、アルタイル、ベガ…などと解説を始めちゃったり、今夜はちょっとだけ星の人。
酒は舐める程度で就寝とする。
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日曜の朝。自分のスタート時刻は後の方なので、仲間をあらかた見送ってまたゆっくりしてから宿を出る。標高差170mと程よいウォーミングアップで会場に着くと、筑大サイクリング部同期のM屋君に会う。毎年居る筈なのになかなか会えなかったんだ。互いの近況報告もそこそこに、準備を進めねばなるまい。
7時45分から一般男子Eクラスがスタート。ここ数年のリザルトが1:27'前後だし、今回も1:30'を切れれば良いという緩い目標を立てていたが、直近の不動峠やヤビツ峠のタイムから、それすらも非常に困難であるようだ。序盤から油断は出来ない。山頂までスッキリ見える晴天なれども、少し暑いわ。ボトルの塩水、足りるかしら。
第1チェックポイント三本滝で24'07"。ここまで頑張った甲斐あってさほど遅れていないが、もう踏めなくなった。竈門炭治郎ウェアの人が抜きざまに「美ヶ原にも居ましたよね!」と声を掛けてくれる。彼ともっと中盤まで競い合えたものだが、今日は全く付いて行けない。中だるみにも甚だしいが、ペースを下げて組み直すしかない。こんな状況でも数名のライバルが決定して抜きつ抜かれつ、レースとしては楽しいものだ。
冷泉小屋から先、やはりつづら折りのカーブがワンセット多く感じる。第2CP位ヶ原山荘で1:03'17"・・・。ペースの落ち方を計算すると、もう絶対無理じゃねーかと絶望する。残り5kmから踏み込んで残り4kmまでのラップ4分半ほど。お、全然大丈夫じゃんと希望の光が見える。が、容赦のない急坂続きでギアを1速まで落とすシーンが多くなり、残り3kmまでのラップ6分ほど。また絶望のどん底に叩き落される。
ほらこんな素晴らしい景色の中を、、、なんでこんな苦しい走りをしているのか。もう1秒たりとも落とせない。「ミニベロがんばれー」という声が何処かから聞こえる。よっしゃ頑張るよと心の中だけで返す。5分半くらいのラップを刻んで、残り1kmで残り4分半ほど(記憶は曖昧)。もうギア2速縛りで、重くても痛くても踏み込め! 残り300mで残り1分切った!?ああああ。
幸いゴール渋滞は無く、奇跡の末脚大爆発を信じて全ての力を出し切った。標高2,716mのフィニッシュ地点を通り過ぎ、少しだけ進んだところでもう駄目だと崩れ落ちる。フィニッシュ1秒後くらいに止めたウォッチを確認すると「1時間30分03秒15」…ウカツ!! おそらく公式記録でも目標は達成できていないであろう。体力精神力を使い果たした上に、この落胆。ようやくとぼとぼとゴール後待機エリアに向かう。
先にフィニッシュしていたH多さんは1:20'01"! 近年私の背中を脅かすI川さんは1:33'台。どこがどう苦しかったとか、そういう談義に花が咲く。H谷川さんやK島さんがさほど間を置かずフィニッシュして来たように感じるのは、私が遅くなったのと彼らが速くなったからか。
K原さんもフィニッシュ。昨日「一緒に富士見岳を登山しようぜ」と話していたが、だいぶガスって来て槍穂が隠れたし…いや私の気力不足で、すぐ裏の魔王岳に変更して貰う。ここでもゴールエリアより一段上の山岳風景が楽しめるんだ。アニメ「mono」の聖地である。
K野さんらの集団下山に加わり、大雪渓前で待機していると「位ヶ原山荘までで棄権する」と話していたW田さんが諦めずフィニッシュを目指して登ってきて、W田さんコールが発生している。「何が嫌だって、そういうのが嫌なんだよ」とも話していたのは、ダチョウ倶楽部めいた“振り”だったようだ。今回は寒い思いをする事無く、涼しい風が名残惜しくスタート会場に下山する。記録証を発行すると、1時間30分02秒221。
宿に戻り温泉入浴と昼食を済ますと、もうバスの時刻だ。今夏を以て営業を終了する寿家さん、そして同宿メンバーの幹事であるM輪さんにろくに挨拶出来ず、うしろ髪ひかれ隊思いで宿を後にする。もう暑いなか観光センターまで荷物を背負って登り直すのは苦行だが、輪行専用の新島々直行バスに乗る為には仕方ない。
なぎさトレインで松本駅に到着。今回はここで特急あずさ、ではない。篠ノ井線の長野方面に乗り姨捨駅で下車、輪行を解く。ズウゥゥン!ズウゥゥン!って何の音かと思ったら、千曲川対岸の山に雷が落ちているのが見える。ここでタイムスリップしてたまるか。棚田を横目に急いで坂を降り、戸倉上山田温泉の亀清旅館さんにチェックイン。
シアトル出身のタイラーさんが若旦那を務める事で有名な宿だが、休前日でなければ一人でも泊まれるし、案外リーズナブル。和室の奥のテーブルと椅子のあるスペース(広縁)を指差し「はいここっ、ここ好きっ!」と、ざつ旅めいたハイテンション。上品で驚きのある料理が次々運ばれてくる夕食、手作り感のある露天風呂を堪能し、やっと大の字になって疲れ切った心身を休めさせる。
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という訳で月曜は有休だ。朝風呂と朝食を頂き、今日はアニメTurkey!の聖地巡礼をするのが良かろう。昨年のチクマサイクリングクエスト4スイーツラリーの折には定休日だったので初訪となる名月堂さんは、登場人物の家という設定。栗道楽を土産に買っていく。佐良志奈神社、武水別神社をお参りし、ボウリング地蔵(道祖神)や市役所内のTurkey!祭壇を回るともう昼食の時間。いつものCafe自転車屋さん、あいててよかった。
暑いけどさすが信州カラッっとしている。ここで暮らしたい。篠ノ井のアピナボウル外観まで見て屋代駅に戻り輪行。ここでもTurkey!オマケ付きの土産を買って行く。しなの鉄道に乗って中軽井沢駅で途中下車し、駅併設の図書館に入る。本当は丸一日入り浸りたかったけど仕方ないね。短時間なりに軽井沢町の歴史についてなるべく学習しておく。ここでサイクルロゲイニングのプランナーを務める可能性があるとかないとか。
あとは新幹線で東京に下るだけ。無事帰宅が何よりだし旅先で良いこともたくさんあったけど、釣瓶めいて落ちていく脚力についてもしっかり考えないといけない。…まず自転車のネジ締めよ?
そして来年の乗鞍に挑戦できるかは、同宿メンバー「乗鞍同盟」が次に世話になる宿のキャパ次第になろう。
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むらよしギムナシオン(参戦記サイト)に3月の葛飾ハーフマラソンをアップ。当時と体重体脂肪は変わってないんだけどなー。
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