8/17-18 日南去ってまた一難
いっぺん突風でテントごと吹っ飛ばされそうになったが、涼しかったぶん今迄で一番良く眠れた。オリオン座が昇る未明、さいはての駅、枕崎で輪行。もうサイクリングなんてしない。指宿枕崎線の2両編成気動車に乗り込む。始めは3人だった乗客も、進むにつれ指宿高の生徒で賑やかになってくる。開聞岳にさよならを。
鹿児島中央駅で18きっぷにスタンプを押して貰い、日豊本線への電車に乗り換える。車窓には、我が胸の萌ゆる思いに比べれば煙はうすし桜島山。ハロ(円形の虹)が出てる。うとうとしてる間に宮崎県に入り、宮崎駅で日南線への快速に乗り換える。単行気動車で始めは混み合うが、進むにつれがらがらに。
車窓には鬼の洗濯板、そして今回の旅で初めて自転車旅行をしている人を見かける。九州一周かな? また鹿児島県に入り、さいはての駅、志布志で降りる。これで三角線と合わせて3つの盲腸線を制覇し、鉄道好きご満悦。さてフェリーターミナルまでの1.6kmを輪行袋を担いで歩くか、いちいち組み立ててまた輪行するか、と思案していたらどうやら路線バスがある。「志布志港入口」行きと「志布志港」行きで到着場所が全然違うのが紛らわしいが、無事楽して移動完了。そういえば鹿児島土産がまだだった。売店のかるかんにまっしぐら。
さんふらわあ きりしま。まもなく新造艦と入れ替わる旧式だし錆も目立つが、立派な艦容にテンションが上がる。乗船から出航までの間ずっと「さんふらわあさんふらわあ、太陽に守られて行こう〜♪」と洗脳BGMが流されてるので、あーあ、もうみんな口ずさんじゃってるよ。夕方6時、手を振り合いながら岸を離れていく。ボーーーーーーー!! 今生の別れを思い起こさせるような汽笛が、胸にズシンと響く。九州にもさよならを。
夕食はバイキング形式。ここで野菜不足を解消するはずがつい、肉肉魚肉肉揚げ物! ぶっちゃけありえない量を取ってしまった。なんとか完食したと思ったら、良く見るとデザートバイキングもあるし。もう別腹別腹。これから吠える40度、狂う50度、絶叫する60度…ってわけじゃないけど、瀬戸内航路に比べれば結構揺れるよ? まぁまだ大丈夫だろう。ロビーでくつろいでいると絵本コーナーに銀河鉄道の夜を発見。藤城清治影絵の素敵なやつだし、読みふける。
繁忙期の雑魚寝クラスは地獄なので、早めに寝台クラスを取っといて良かった。志布志発なのは、元々宮崎県の秘境や大隅半島を走ろうと考えていた名残である。そちらもいずれ…。
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海岸線の灯りは四国だろうか。やがて東の水平線に朝日が昇る。紀伊水道から紀淡海峡を抜けるフェリー。眩しい島々、そしてミナミやキタのビル群が近付く。また、こんな旅がしたいなあ!
しかし悪天候の影響で入港は1時間遅れになるという。そんなに揺れたかなあ、熟睡していて気付かなかった。やよい軒高槻店で朝食を頂いてる場合では無くなったし、次の予定も危ない。大阪南港で下船次第シャトルバス、さらに急いでトレードセンター前駅からニュートラム、地下鉄中央線、JR環状線、京都線と乗り継ぐ。
新しくない方の快速に乗り、京都府の向日町駅で途中下車。しばらく歩くと神社の敷地に向日市天文館がある。向日と聞いて宮崎県にあると勘違いしていたくらい知らない土地だが、プラネタリウム版planetarianの夏バージョンがここで本邦初公開されている。内容はアニメの投影機修理シーンがばっさりカットされているなど、初見の人には唐突そうな進行だが、劇中の投影シーン再現はプラネタリウムでしか得られない体験だ。館内に職員手作りの「ゆめみの花束」が供えてあるなど、この施設なりの作品愛も多分に感じられた。これで郡山×2や豊橋と合わせて春夏秋冬バージョン揃ったことになる。でももっと、細々とで良いから全国で星の人の系譜を繋いで欲しい。
予定は全て完了。あとは松本駅で輪行を解いて帰宅するだけ。溜まった新聞にざっと目を通してみるが、情報を遮断していた間、大きなニュースといえばイタリア橋がフォーリンダウンしたことくらい。自室でネット漬け、外出先でも背中を丸めてスマホをいじくる日常が帰ってくる。当面は暑き旅の七日間を振り返りながら、ブログにまとめていこう。そして、先の事など考えるものか。
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