8/16 砂に還る人の群れは誰も雄弁で
朝日が昇るー、私は旅するー♪…ってキャンプ場晴れてるじゃん。雨予報とは何だったのか。でも開聞岳は分厚い雲に覆われてるし、一度諦めるとずくが出ないから登山は止めた。それなら、昨日スルーした場所に全部寄ってやるんだ。という訳でまず南麓の周回路を行く。海岸の花瀬望比公園には、フィリピン戦線から帰れなかった兵士を鎮める碑や像がたくさん並んでいる。居合わせたライダーさん曰く、昨日台風が来てたけどもう日本海側に抜けたよと。
スリル満点な細長いトンネルを抜けると川尻集落。民家にラブライブの痛車が駐めてある。薩摩半島最南端の長崎鼻は、崩れたコンクリ歩道が岩場に続いているのが冒険心をそそる。海が時化てて怖いけど。おまけにまた土砂降りがやってくる。今日も目まぐるしい天気になりそうだ。激坂を下りて高波が洗う道を決死の思いで駆け抜けると、山川砂むし温泉。やっぱり指宿市まで来たからには、これをやっていかないと。浴衣姿で砂に埋められ、やがて全身の脈拍が全部触覚に跳ね返ってくる。
市街地にある施設より穴場な気がするけど、掲示物によれば「三月のライオン」の聖地らしい。なるほど、明らかにそれ目当てという挙動をとる兄さんが居るわ。さつまいも蒸しが安くて旨い。あっ、開聞岳が一瞬晴れた。このタイミングで山頂に居た人は歓声を上げたろう。またすぐ笠雲に覆われた。続けて九州電力の山川発電所を無料見学。そこかしこに張り巡らされたパイプが萌え。謎映画を観たり内部見学ツアーに参加したり、おまけに記念ハンカチまで頂けた。地熱発電バンザイ!
さてゆっくりし過ぎて、午後の予定がタイトになってしまった。枚聞神社(ひらききじんじゃ)をお参りして九州最大のカルデラ湖、池田湖へ。どしゃー、また雨宿りだー。頴娃(えい)から茶畑の広がるシラス台地を北へ、知覧武家屋敷に到着。「Chiran Samurai Residence」という標識があちこちにあったもんで、それだけでカッコ良かった。時間なく、石垣の通りをさっと抜ける程度だが。
知覧特攻平和会館に間に合い、中へ。数多の遺書絶筆に胸が締め付けられる。館内撮影は禁止だが、これだけ記憶した。
「決して泣いてはいけません。私は名譽ある特攻隊員です。ほめて下さい。笑って下さい。」
実は私の祖父も特攻隊員だったらしい。いよいよ特攻機に乗り込む順番が回ってきた時が73年前の昨日、玉音放送。わずかにタイミングが異なれば、私の母さえ存在しない世界線だった。
このサイクリングもそろそろ終戦としよう。南西に向かって最後の脚力を振り絞り、枕崎市に到着。本日走行90km。駅前の銭湯で汗を流し、ゲリラキャンプも最後。スーパーの惣菜だけど、枕崎産かつおのたたきを食べる。グルメグルメ。
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