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2014/1/1分 船上のハッピーニューイヤー

DBSクルーズフェリーの貨客船イースタンドリーム号は、関釜フェリーのよりやや小振りで、一見豪華だがエレベーターがなかったりする。割り当てられたのは2ndクラス寝台8人部屋。そこは往路みたいに日本人オンリーで、旅の話や悪口で盛り上がるものだと思っていた。ところが同室に居るのは韓国人たち。あれ?

とりあえず早目に風呂を済ませ、船内探検を開始。3人のアテンダントのうち1人が日本語も話せるので、日本人がどれくらい乗っているのか聞いてみた。すると人差し指を立てて「外国人のお客様は1人だけですよ」と。大笑いしてしまった。ロシア人さえいないこの船、数百人みんな韓国人だ!サッカー日本代表が北朝鮮遠征で味わう以上のスーパーアウェイではないか。それも明日の朝まで…。

Depart往路フェリーで「DBSの食事はクソまずいぞ」と聞いていたが、旅のネタにメシマズは基本。いわゆるバイキング形式で、後がつかえてるので急いで皿にぼんぼん盛っていく。何だか良く分からないメシになって、とにかく辛いだけ。なるほど10000ウォンの価値は無い。お代わりもせず退散。後でアテンダントに味を聞かれ、曖昧に答えたら「朝もほぼ同じものが出ますよ」と教えてくれた。暗に「やめといた方がいいですよ」という意味だろう。いつの間に離岸、東海や三陟の夜景がゆっくり遠くなってゆく。さよなら。また来られるかな。

同室にも日本語をそこそこ話せる人がいて、分からない単語をマーキングしながらゴルゴ13を愛読している。「しょっぴく」とか分からないよね。もう一人、ほんの少し話せる人もいる。やがて飲み会が始まり、参加するよう勧められる。酒がとにかく苦手で、船酔いも怖い私はとりあえず遠慮する。しかしいよいよ断れない空気になり、一杯頂くことにした。まず一番若い私から韓国焼酎を注ぐよう促される。そういう風習。ええと、こうやって左手を添えるんだっけ。5人でカンパーイ。

まさかこんな狭い所で、韓国人たちと膝を突き合わせて飲むことになるとは。しかも奥の方に座ったから逃げ場がない。流れで対馬から竹島の話になり、隣の人が「◆○☆▲トクト(独島)×%*ウリナラ(我が国)◆○☆×%*▲‼︎」とまくし立てている。だが私に対して嫌ったり怒ったりする様子はない。主張はするがあくまでフレンドリーである。あとはただ聞いていたり、日本語の人に通訳して貰ったり。やがて韓国語オンリーの船内アナウンスが流れたかと思うとお開きになり「チャル モゴッスムニダ(ごちそうさま)」。したら表に出ろと。「花火 ハジマルヨ!」

Fireデッキにはダウンジャケット姿の人々。20時半に皆でカウントダウンすると、船尾から沢山の花火が上がり大歓声に包まれる。こんな間近で打ち上げられるのを観るのは初めてだし、なかなか終わらないし、感激した。まったく、鳥取県からの巨額な赤字補填を使ってこんな事を…とも考えるが、アテンダント曰く年の最終日だから特別なんだと。

0時に年明けの歓声がラウンジの方から聞こえた。私はそのまま寝ている。しかし部屋が暑すぎて3時に起き、宴会跡のラウンジに移動。船がけっこう揺れるので、かえって気持ち悪くなった。寝台に戻る。こうして朝を迎えパンの余りを食い、外のデッキに出る。何やらみんな手に風船を持ってわらわらと出てきたので、自分も一つ貰って来る。白み出す空に、思い思いに風船を放っている。おいおい、日本の海を汚すなよ…と思いつつ一緒にやる。(竹島が日本へ還りますように) あ、右の方向に陸地が視える! 我が祖国だ。普段そんなこと考えもしないくせに…左目から涙がこぼれる。

これが、旅だ。

Sunrize日の出時刻からやや遅れて、雲の層の上に太陽が顔を出す。日本人はね、こうやって初日の出に手を合わせるんだ。島根半島がどんどん近づき目と鼻の先。あそこまで行けば、自転車で走った道が全国に繋がる。美保関沖を回頭すると鳥取側の陸地も見えてくる。靖国参拝を連想させぬよう、こっそり小さく美保神社へ向かって二礼二拍手一礼。海の上から初詣ってか? 船の前方には境港大橋、そして今ダイハツのCMで話題の江島大橋も遠望する。左手の灯台には釣り人たちの姿が。第一日本人発見!

アテンダントに呼ばれ、部屋にいる数人に「アンニョン ケセヨ、サヨナラ!」してロビーで待機する。定刻の9時から30分余遅れて境港国際旅客ターミナルに接岸し、下船順番はツアー客様が優先なのでわりと後の方。皆スパッツとか付けてるし、大山にでも行くんだろうな。入国審査の長い行列が帰国の感動に水をさす。最終関門の税関は、唯一の日本人客で当然目をつけられそうだし、油断を誘う若い女性係員だから緊張する。澱みなく笑顔で旅の目的などを答えなければならない。荷物の量は少ないし、デイバックと土産袋の上の方を少し開けられた程度で放免となった。ええ、と、、、これで自由だ〜!!

Gegege船内の免税店でも特に欲しいものはなかったし、両替で得ていた40万ウォンのうち11万が余った。まぁいいや。往路のフェリーで「DBSは鳥取県からの補助金が打ち切られて3月いっぱいで廃止らしい」という噂を聞いていたので、案内所に4月以降の運航について尋ねると「しますよ!」と強く肯定される。さてどうなるかな。シャトルバスの利用者は私一人で、JR境港駅まで移動する。日本語の標識、日本語の看板、日本語の会話。ぬるいなぁ? 駅前通りではちょうどゲゲゲの大行進をやっていてラッキー。JR境線は鬼太郎ラッピング列車が入線、これ乗ってみたかったんだ。車内アナウンスは高山みなみ・今野宏美によるもの。

ここからの旅は青春18きっぷ2回分による、普通の苦行。ただしすでに予定の列車より2本遅れているため、米子〜新見間は特別急行でワープする。しばらく地面が揺れている感覚に悩まされつつ、大阪で一泊して翌日松本に帰る。

旅で得たものは何だろう。やはり言葉が分からないことによる悔しさが大きい。私だって、日本語が全く分からない外国人が日本を観光してたら「舐めんじゃねーよ」と思うものだ。次の機会があるなら、もっとしっかりしたい。

あと、両国のネット弁慶な方々はともかく、少なくともこうやって行き来している人々に関しては、仲良くしたがっていることが分かった。「あっちの国は遺伝子レベルで劣っている」みたいな悪口のスパイラルは、自国の姿さえ見えなくしてしまうもの。幼稚な外交と、親韓嫌韓を煽ることで儲けるマスコミ。それらを楽しむのも良いが、取るべき姿勢は次の言葉に尽きる。

「国家憎んで文化憎まず」

あとは、元気な日本を探しに行きたい。

(これにて韓国旅行編は終了です。長文の連続になってしまいましたが、一部でもお読み下さった方、ありがとうございました。)

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