5/5分 行程300km、夢幻の如くなり
サイクリング最終の三日目は、まさかの雨。体調も今ひとつなので、あわよくば日本海までという強気案は取りやめ、観光メインでいいや。
「地図からの脱却」が最近のテーマだが、限られた日程では完全に自由というわけにはいかない。予めルートを頭に叩き込んでおき、旅行中は地図を封印してカンに任せるという方法で擬似的に実現している。それも昨日までで、今日分のルート考察はとうとう手持ちの地図を開いた。
まずは大野市街地の観光から。七間朝市は、まだ始まる時間じゃなかった。御清水(おしょうず)で水分を補給し、チャリを置いて越前大野城のある亀山を登る。こちらも登閣時間ではなく、展望は限定的だった。
国道158号の旧道は快適。稀に越美北線のキハ120形を目撃しつつ、少し南側に寄り道すると一乗谷がある。良く覚えていないがソフトバンクCMのロケ地になっていたらしく、それ以前に言わずと知れた朝倉氏遺跡、栄華を極めた小京都である。復原町並はGW中は入場無料とのことで侵入するがまだ客は誰もおらず、深緑の上下合羽に茶色のバンダナ姿の私は関係者と間違われて、他のスタッフにやたら挨拶されまくる始末。付近は義景館やいくつもの庭園跡が高低差ある遊歩道で繋がる。これだけの町を灰燼に帰すとは、おのれ信長め。
来た道を少し戻って今度は北上。急坂を登って宇坂トンネルを抜けると、曹洞宗大本山の永平寺が大勢のガチ信者を集めている。私も父方が曹洞宗だから無関係ではないが、「宗教とは心の安寧を商材にした経済システム」と割り切っているので信仰は薄い。拝観料を払って本堂に賽銭を投げてちゃっちゃと済ますつもりだったので、靴を脱いで説法を聞いて回廊を歩く参拝形式は、ちょっと面倒に思えた。心に余裕を持てれば面白かっただろうに。そもそもここは観光地ではなく厳しい禅修行の寺。理解を深めて、また来よう…。
最後に越える峠は越坂峠。短いながら、山深げな雰囲気が良い。福井市街地の国道8号をちょっと南下して、国道158号の起点を見に行く。そこにはあの信長書店があった。おのれ信長め。ちなみに国道158号の終点は松本市にある。
正午に福井駅到着。本日の走行距離59km、獲得標高差460m。とりあえず駅ビルの飲食店で福井名物ソースカツ丼を食うが、満足度はキャベツのある駒ヶ根に軍配かな。あとは列車で松本に帰る。あこがれの特急サンダーバードで富山までワープし、鈍行で大糸線を経由する。まもなく北陸新幹線が延伸開業したら、このへんの使い勝手も変わるだろう。
こうして、テントを乾かすための予備日を残してGW旅行は終了。人気の少ないルートは地味そうだという予想を裏切って、多彩で充実したサイクリングだった。ずっと家でふて寝してようかとも思ってたけど、やっぱり出発して良かったな。
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