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8/13分 非の打ち所ない燧ヶ岳

National暗いうちに食事を済ませ午前5時、テント一式をキャンプ場に置いたままにして西へ500mアップのヒルクライム。朝焼けに燧ヶ岳がくっきり浮かぶ。今日はあの、東北地方の最高峰を目指すのだ。橅坂というつづら折りを攻略して、尾瀬御池ロッジ前に自転車を駐める。

Kumasawaトゥクリップのペダルにトレッキングシューズでサイクリングしているから、そのまま登山も問題ない。南へ歩いて行く。意外に急登だなーと呼吸を荒らげていると広沢田代、熊沢田代といった湿原の木道歩きになったりして、実に楽しい。お盆の尾瀬なんて超満混雑するんじゃないかと恐れていたが、この御池ルートはまばら。熊が出るほど閑散とはしておらず、丁度良い。

夏場の登山は朝早くのスピードが命。周囲の山はもう雲を被り始めているぞ。軽装備だしコースタイムの半分で三角点山頂の爼嵓(まないたぐら)に登頂する。尾瀬沼が眼下! はるかに日光の山々など、申し分のない雄大な景色にしばし見とれる。この山は噴火ピークがいくつかあり、西隣りの柴安嵓で東北最高の標高2356mを極める。広大な尾瀬湿原を見おろすならこちらが良い感じ。夏が来るたび思い出しそうな眺望だ。まだ8時過ぎだが、もうこの山にも雲が湧き始めてきた。

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俎嵓に戻って南へ御池岳、ミノブチ岳と下っていく。下山路はナデッ窪ルートが短絡だが「急坂の難路で登り利用が望ましい」と地図に書いてあるので、ここは空気を読んで遠回りな長英新道を選択。だんだんなだらかになるのは良いが、一合目標識から尾瀬沼に出るまでの距離が長くて堪える。すっかり脚力を使い果たしてしまった。昼食は袋入りカンパン。

ここから尾瀬沼を左回りする。尾瀬の木道には右側通行という、日本人には気持ち悪いルールがあるが、ここは郷に入っては郷に従えだ。流出口である沼尻(ぬじり)平は休憩所が去年全焼したらしく、焼け跡っぽさが残る。トイレは使えるようになってたが、尾瀬はチップ制だしもうちょっと我慢しよう。

Gunma沼尻川を渡ると群馬県に入るから、心してゆけ。木道が半壊しており油断ならない。三平下で正午の休憩とトイレ。北へ福島県に戻って長蔵小屋前は湧き水が飲み放題、ありがたい。平野家の墓に寄り道しつつ大江湿原を貫く沼田街道を行く。ここも尾瀬らしい風景のひとつ。名残惜しく沼山峠を越え、バス停に到着。

ここからの県道1号はバス専用路で、徒歩禁止。仮に歩くことができてもバスを選択したと思うが。御池ロッジ前で下車し、自転車でモーカケの滝に寄り道しつつキリンテのキャンプ場に“帰宅”する。時間と体力に余裕が出来たので檜枝岐の街に下り、燧の湯という温泉に入る。旅のメインディッシュを無事完遂した安堵と、明日の行程が一番キツイぞという不安を胸に。

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