8/15 奇奇開聞
地面からも熱気が伝わる夜でほとんど眠れなかったが、朝になったから出発だ。新幹線もある川内駅で一休みしてから、国道3号を南へ向かう。ゆるゆると昨日の疲れを回復させながら…なんて出来るかなぁ。串木いちき野市だったかいちき串木野市だったかを過ぎ東へ、薩摩半島横断は県道24号を選択。美山という陶芸の里があり、あと謎の廃線跡と交差する(後日調べたら南薩鉄道が枕崎まで通じていたらしい)。伊集院駅前のローソンで早くも大休止。馬鹿力は出そうにない。
鹿児島市に入る。きっぷ販売機の駅名検索で「まつも」まで入力するとサジェストされることで松本市民には有名な(?)薩摩松元駅がある。この辺りで、朝から時々ぱらついていた雨が本降りになってきた。少しなら涼しくて気持ち良いけれど、土砂降りは雨宿りしてやり過ごす。峠を越え、鹿児島中央駅前に到着。すげえ、巨大かつ賑やかな駅ビルに観覧車まである! ここは九州の果てではない、中心にしてやるぞという気概を感じる。大河ドラマによるフィーバーもあろう。国道終点の碑(3号10号225号)や西郷隆盛像を見て、フェリーターミナルに寄り道。「昔走った道」とこれで接続。ばかばかと距離を稼ぐような走り方をしたのはこのため。自転車乗りのロマンなんだ。
桜島山は雲をかぶっているが、行き交う客船と意味もなく手を振り合うのが楽しい。うーん、ボクも種子島に渡ってみようかな。時化てそうだからやめとくべ。昼食は元ダイエーで…あっドムドムがある。鹿児島まで来てドムドムかよと思うが、これを逃すと一生食いっぱぐれるかも知れない。チキンバーガーセットを注文。旨くも不味くもない。午後のランもゆるゆると開始。路面の黒い砂は火山灰だろうか。産業道路を南へ急行するが、空は土砂降りとカンカン照りを繰り返す。昨日まで酷暑が続けば潰れていただろうから恵みの雨だけど、お肌には優しくない。
ずっと錦江湾を左に見る国道226号。スタミナ切れのため道の駅喜入、さらに指宿市に入って道の駅いぶすきで休憩。特産オクラの刺さったソフトクリームがシュール。それにしても向かい風が妙に強いのだが、まさか台風が来ているのだろうか。一個前の台風が過ぎたタイミングで九州入りしたからヘーキヘーキと思っていたが。ああもう時間がない。田良岬の砂のかけはしも遠目に駆け抜け、指宿の温泉もスルー。スーパーで買い出しついでにテレビを見ると、画面隅に明日は降水確率80%と出ている。
火山台地のアップダウンをこなしていくと、ついに目前に現れる開聞岳。後方羊蹄山みたいなのをイメージしていたが違う、ちゃんと南の果ての雰囲気がある。そう、あれに登るつもりで準備してきたのだが、天候次第で無理かも知れない。最終判断は明日の朝に行う。JR最南端駅の西大山(にしおおやま)はさすがの人だかり。サクッと撮ってもうひと登り。夕方6時きっかりに、かいもん山麓ふれあい公園キャンプ場に到着。本日走行125km。
ミニゴルフ場を兼ねた、芝生の素晴らしいサイト。せっかく有料のキャンプ場を使うんだからレトルトじゃなくて、ちょとはマシなキャンプめしを作ろうぜ。ひき肉をたっぷり炒めて、豆腐ともやしをぶち込んで、麻婆豆腐の素をぶち込んで…これが私の精一杯。
こんなにだらだらでも、日常の象徴であるスマホをいじくり回しながらの旅とは異次元の密度を感じられるようになった非日常。クラウドに預けていた時間軸が、自分の背骨に戻ってくる。
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