8/13分 ハコダテヤマノボレ0813
下北半島の佐井村で迎えた朝。いざ高速船で青森市へ渡るべくアルサスの定期船窓口に行くと、「本日欠航」の文字が私を絶望の淵に叩き落とす。そんなに風つよいかな…。どーすんだよ、膝が痛いから陸路で仏ヶ浦〜脇野沢なんて嫌だぞ。いっそ大間に戻ってフェリーで函館に渡るか。諦めていた北海道が一気に現実的になってくる。そうだそうしよう。着いたらフランチェスカちゃんグッズを買い漁って、特急列車で青森にとんぼ返りすればいい。
朝の便は行ってしまったので、昼前まで大間町をぷらぷらする。青い空、青い海。昨日よりハッキリ北海道が見える。やがて大函丸に乗船、出航。無上の旅情に包まれるひとときだ。朝ドラのように、伊東四朗が突堤から見送ってる気がする。さよなら本州私は行っちゃいます、ああ津軽海峡夏景色。
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という訳でやってきましたほっかいどー! とんぼ返り? するわけないじゃん。サイクリング旅だとスルーしがちな函館の街を、今日はらくらく観光だ。まずはラッキーピエロのチャイニーズバーガーで昼飯にし、緑の島から対岸の赤レンガ倉庫群を望むなど。立待岬には石川啄木一族の墓がある。エロメガネとか言わない。
公園に自転車を置き、今度は市電1日乗車券による乗り潰しの旅。五稜郭は既訪なので行かなかった。そういうの長野県にもあるし…。函館どつく前駅から元町エリアの坂道をぷらぷらしてソフトクリームを食って、公園に戻る頃にはだいぶ暗くなってしまった。設営と炊事を急ぐ。夕食はいつものようにあくまで質素に、もやし入り麻婆豆腐のせご飯。
夜8時、函館山に登り始める。メインルートと思われる旧登山道コースを歩くが、街灯もなけりゃ行き交う人もない、真っ暗闇のスロープが続く。ヘッドライトだけが頼りで、所々慰霊碑のようなものが映るが気にするな。今日は脚休めのつもりだったのに、どうしてこうなった。そう思いながら七合目まで来ると山頂の照明が見えてきて、テンションアップ。ここから街灯だけはある。
標高334mの山頂からは、ハッと息を飲む大夜景! こりゃ想像以上の美しさだ。自分の脚で登ってきたゆえの感動もちょっとプラスされてるかも知れない。ただしここからだとロープウェイが少し視界に入るので、駅舎屋上の展望台に回ってみる。…物凄い人だかりに笑ってしまった。これじゃ夜景を見に来たのか人を見に来たのか分からない。押すな押すな、早くどけよという惨状だ。下りのロープウェイも大行列に並んで50分待ちだって。歩いたほうが早いんじゃね?
さっきの空いてる好展望所は建物の裏手を回るため、ほとんどの人は行き方が分からない様子だった。海の向こうには本州下北半島の灯りも横に並んで見えている。後ろ髪を引かれる思いで下山へ。迷ったらシャレにならないので確実に旧登山道コースを選択し、下のロープウェイ駅まで降りたらキリンガラナが自分へのご褒美。あとはテントに帰って寝るだけ。
それにしても本当に北海道に来ちゃったんだなぁと、今更ながら旅の意外性にびっくりしている。
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