3/24 上高地線を待つ君の横で僕は時計を気にしてる
アルピコ交通(松本電鉄)上高地線が混雑している。大半が「ふるさと鉄道まつり」目当てで新村駅で降車し、残りが「上高地線ロゲイニング」の参加者たちだ。波田駅で降りてすぐ、波田公民館がスタート/フィニッシュ会場。早めの昼食を摂り、ウエアやランニングパック等の準備をする。先日田畑に積もったなごり雪はだいぶ解けているが、サングラスはしておこう。
松本エリアロゲイニングシリーズが四年ぶりに波田に帰って来た。あの時はロゲ初体験ながら男子ソロの部で優勝、ただしチーム阿闍梨に大敗したのを覚えている。今回は阿闍梨さんこそいないが、去年の生坂ステージで私より上位に居たBさん(今回はチーム)とTさんの動向が凄く気になる所だ。向こうも私の名を知っている筈で、恥ずかしいレースは出来ない。
レースというか、地図読みの知力とランニングの体力、チームならチームワークの総合力を競うスポーツ。総勢150名という盛況な会場で、緊張の地図配布タイムがやってくる。凍結だか倒木だかで通行止め箇所があるとの説明を受けつつ、短時間で作戦を練る。いや、おおまかな戦略は既に決まっていた。走力に劣る私が勝つには、利用が許可されフリー乗車券まで配布されている上高地線を有効に活用する奇策しかない。アップダウンの激しい北西の扇状地エリアは捨て、北東の市街地エリアに急行。そのあと南を周ってから電車に乗るんだ。ルート取りが「の」の字になるイメージなので、けものフレンズ作戦と命名。向きは違うけど。
でも後半が上手く繋がりそうにない。ここは必殺「高度な柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する!」(要するに、行き当たりばったりと言うことではないかな)。全員集合写真のあと、正午に一斉スタート。5時間という長い制限時間の中でコントロールポイントの選択は自由なので、各チームが方方に散ってゆく。得点証明となる写真を撮りながら、梓川沿いのなだらかな地形を利用して梓橋まで下りる。涼風が気持ち良く、花粉もそんなに飛んでないように感じる。早くも脚が痛いのでペースを落ち着かせよう。
城山を越え蟻ケ崎のブレ菓子店は最遠コントロールだが、私にとっては超近所。この辺は正直地図が要らない地帯だ。信号だけ読みつつ順調に南へ進むが、低得点コントロールが多いのが気がかり。笹賀のアジャリカフェからは、想定を変え北へ繋ぐことにした。
「の」の字がいびつになったが、予定列車の時刻を睨みつつ線路沿いを西へ伝い、新村駅発1540にギリギリ間に合わせる。ここまではソロならではの“独走性”が活きた形だ。この先も自走した方が高得点が狙えそうな気がするが、時刻に間に合わせる為に必死だったので、心が折れている。車内で一休みしたいし補給食も大事。カーボショッツのカフェイン効果を最大限引き出すため数日カフェイン断ちをしていたが、どうだろう。
緩い登りを電車に任せつつ、波田を過ぎて渕東駅で下車。残り1時間、四年前に攻略できなかった南西の山エリアにいよいよ突入する。競技説明で「全くお薦めできない」と言われてた通り、林道の登り坂が雪でズボズボ。パワーランニングで何とかゆっくり進む。
若沢寺(にゃくたくじ)史跡へ標識は充実しているのだが、ここで手前側の入口を通り過ぎてしまう痛恨のミス! 「お前、行き過ぎだぞ」と諭してくれるチームメイトが居れば、どんなに良かったことか。足跡が無くなっておかしいなあと思いつつ、奥の入口から遺跡の最上段まで無駄に登ってしまった。転びつつ最下段まで落ちてコントロールは発見できたが、時間と体力のロスが大きく、これでは入賞すら出来ないと顔が青ざめる。
気を取り直して雪トレイルを東に進み、鞍部を越えたら少しでも遅れを取り戻すべく、ボブスレーが滑るように駆け下りていく。トレランシューズがバシャバシャ水浸しになるし、このエリアを最後にして良かった。少し南へ回って唐沢そば集落の高得点はゲット出来たが、いよいよ残り時間が少ない。残りいくつかあるうち一箇所だけ取りフィニッシュへ一目散、タイムは4時間57分31秒だった。危ない危ない。ああ、悔しいなあ。でも目一杯に駆けずり回ることが出来たし、これなら勝ち負けになるだろうという安心感もある。トン汁やおにぎりのふるまいが疲れ切った身体に染み渡る。
自己採点してみると23箇所1733点。四年前に比べてコントロール数は減ったが得点では上回った。阿闍梨さんには遠く及ばない。表彰式では混合チームの意外なハイレベルさに驚き、男子チームはやはりBさんの所。最後に男子ソロの発表となり3位Uさん、2位Tさん。その差56点、薄氷ながら私が1位に立った。悲願の全カテゴリトップ得点も達成、結果オーライである。副賞の波田名産品も豪華で嬉しい。
ぼっち参加だと誰とも話さないことが多いが、帰りの電車は混合1位の方たちと談義していて退屈しなかった。夕食はモスバーガーでチキンも付け、さらにコンビニスイーツを買いつつ帰宅。いろいろネガティブなことも考えがちな日々だけど、今日くらいはいい気分で居させてくれや。
走行距離40.0km+9.5km、積算標高差470mほど。翌日は、まるで初めてフルマラソンを走った後のように全身筋肉痛でろくに動けなくなった。改めて地図を見直すと、とうてい完璧とは言い難いルート取りで、お山の大将感半端ない。この反省を活かして、いつかまた存分に戦いたい。
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