8/16-17 日向向日
最後のゲリラキャンプ地からも無事逃走して、宮崎へ向かう。普通に都城経由でと考えていたが、地図をよく読むと霧島バードライン経由の方が山岳気分が味わえて面白そう。錦江湾と別れて北へ向かい、神社のような霧島神宮駅を経て標高450mの霧島神宮に登り着く。立体的に構える朱塗りの社殿がカッコいい。
妙に暗くなったと思ったら土砂降りに。雨装備に換装しているうちに小降りとなり、国道223号のアップダウンを東へ進む。鹿児島県から宮崎県に入り、日が差してきて水蒸気が上がる森の道。こんな美しい光景の中をツーリングしているんだ。
火口湖の御池(みいけ)湖畔に下り一休み。店は潰れてるし観光客の姿も無いが、晴天に高千穂峰など霧島連山の素晴らしい風景。これで山も走ってきたよと胸を張って言える。天の逆鉾までは・・・見えないか。使われていないボート群や捨て猫たち、さようなら。
下り基調で高原(たかばる)を経由し、台風を追うような風も味方して早々に国道268号に合流。交通量が多いトラック街道で、強引に抜いていく車、よく事故らないものだ。国道10号に合流するとますます増える。蜂兵衛館のはちみつソフトクリームで一休み。いよいよ大都会宮崎の市街地に突入し、本日の走行97kmのうちほとんどを午前中に終えた。
昨夜は炊事をしなかったので、米が余っている。公園で釜飯の素を混ぜて炊き、半分を昼食に、もう半分をコッヘル弁当にする。百百の湯(もものゆ)という福祉施設がやっている温泉に入ってサッパリし、宮崎科学技術館へ。以前鉄道旅行で通りかかった際に車窓から見えて気になっていたんだ。展示はよくある科学館だがアポロ月着陸船の実物大模型は凄い。1時間ほど潰し、プラネタリウム15時30分の回が始まる。
完成当時はギネス記録だったという直径27mドームは今でも最大級といえる広さで、投影機スーパーヘリオス君の描写力も負けていない。生解説も聞きやすく、客のノリも良い。ただ後半の配信番組「宇宙への第一歩」はクソつまんなくて途中から寝てしまった。
港には宮崎カーフェリー「こうべエキスプレス」が付けている。わぁ、大きなお船。お盆期間は台風接近に伴う航路変更、そして昨日までの3日間は運休と散々だったようだが、今日から通常通りの運航を再開する。ラッキー。輪行して乗り込む。雑魚寝は苦手なので二ヶ月前に寝台を予約しておいた。
もう何も怖くない。大船に乗った気分で、船内散歩をしたりバイキングレストランで爆食したり。やがて出航、夕景の街から離れていく。さよなら九州。予定していた椎葉村や西米良村などは走れず残念だが、そのぶん佐賀県が濃厚になったのと、日当山温泉〜霧島神宮〜御池ルートも一つの旅と言えるボリュームがあった。夜になりデッキに出ると、船明かり等で観測条件は今ひとつだが流れ星がひとつふたつ。
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もう紀伊水道に入ったか、雲があって日の出は遅れそうだ。コッヘル弁当を食って6時過ぎ、太陽が顔を出す。風景は去年乗った志布志→大阪航路とだいたい同じだが、この船は兵庫県の神戸三宮港に到着する。定刻より数分早く下船できて嬉しい。船内ガチャガチャで10円引となるシャトルバスに乗りJR三ノ宮駅へ。ここから青春18きっぷでの帰路となる。
時間があるので大阪府の高槻駅で途中下車。旅疲れと船揺れで全然食欲が湧かないが、ここまで来たからには「やよい軒」でもやし定…は無いので目玉焼き定食を頂く。また列車に乗り、今度は京都府の向日町(むこうまち)駅で途中下車。向日神社までふらふら歩き、去年同様に向日市天文館プラネタリウムでplanetarianを鑑賞。今回はショートバージョンにつき、前半は星空解説が付く。けどオートなので味気ない。planetarianは人生化しているので、また来るよ。
あとはひたすら新快速や普通列車で松本へ向かう。宮沢賢治詩集、2/3くらいは読み進んだだろうか。暗くなるころ帰宅。旅行中のスマホ使用は原則として台風情報の取得に限っていたため、ニュースやSNS等は一週間振りに見るが、やっぱり俺が生きていようが死んでいようが世の中は変わらんな。ゆったりとした自分の時間の流れは終わり、洗濯やらゲームやら、いつもの慌ただしい日常に飲まれていく。
こうして夏は燃え尽きた。
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