« 5/17 こうみメチャ混うみ | メイン | 5/19 私の夢には続きがありません »

5/18 ウルトラのキチがいる ウルトラの馬鹿がいる

始めに断っておくとウルトラマラソンは仙人の嗜みではない。修羅と呼ぶには勿体ないガキどもの気違い沙汰である。相部屋の方々の夜中の落ち着きのなさで特にそう感じた。

Am400kaijo というわけであまり眠れぬまま朝食ご飯3杯平らげて未明の会場に集合。第14回星の郷八ヶ岳野辺山高原ウルトラマラソンは、千人の気違いの他に71kmの部や42kmの部も朝5時に同時スタートとなる。前の方を確保したのでスタートラインを跨ぐまでわずか6秒。まずは足慣らしに野辺山高原をぐるりと回るコースとなる。左手にまんまる赤い朝日が、右手にパラボラアンテナが映える。
が、平坦らしい平坦路はここまで。八ヶ岳中腹への登りに差し掛かると横一面の雄大な連峰に感嘆するのも束の間、路面は砂利道となる。期待していたよりガレていて、シューズのスポルティーフとも言うべきアディゼロLT3では不安定の極みである。それでも登り坂では負けたくないし下り坂でもあまり抜かれたくない、と我がまま気分でつい飛ばしてしまうのだった。
走りにくかった林道が終わると今度は苦手な下り坂。予想外のアップダウンに、42km地点まででかなり脚を消耗してしまった。3時間35分で到着したが、まだ走らなきゃいけないの? ここの着替えエリアで薄着モードにチェンジし、ウルトラへの旅立ちとなる。

55km地点までは調子良く、サブナインつまり9時間切りもいけるんじゃないかという勢いだったが、これ以上の距離は未体験。それに合わせるようにペースがガクンと落ち、あっさりサブテン狙いに下方修正。つまり相当苦しい。エイド(給水所)の度に腹がたっぷんたっぷんになるくらい飲み食いしてるのも問題だが、この楽しみがないと精神的に持たないからいいのだ。
それにしても本当に平坦路がほとんどない。南牧村・小海町・北相木村と旅をして南相木村に入ると、遥か向こうの壁のような山容に峠の切り通しが見える。まさかあれを登るんじゃないんだろうな。誰しもが信じられない気分になるだろうが、延々登って71kmの部のゴールを過ぎるといよいよあの馬越峠に取り掛かるのだ。71kmの部の存在意義がいまいち分からなかったが、なるほどと頷くしかない。

しかし登り坂だけなら得意な私の脚質はまだ生きていて、歩きを入れたくない一心でゆっくりでも走っていれば後続を突き放せるし順位も少しずつ上がる。ただしペース的にはサブテンが厳しくなってきた。だからといって頑張ろうとすると終わってる心臓が悲鳴を上げる。だから記録の事は置いといて黙々と、走っている状態を維持するしかない。俺は馬なのだ、馬鹿なのだ。だから馬越峠を越えるのだ。
長い登りもやがては終わる。もうエイドごとにまったりしている時間的余裕は無いのですぐリスタートを切るが、ここから苦手な下り坂も長い。膝上の筋肉の痛みをこらえてちんたら下っていると、まるでストライドが違う面々が追い抜いて行く。僕にもあんな脚があればサブテンなんて余裕だろうなぁと羨望する。
川上村多目的センターが最後の大エイド。あまり長居は…と思ったが先に到着している選手の「ここのうどん美味いよ! もうサブテン確定だしゆっくりしていこうよ」の声に負けてすすることにする。ああ、パワーがみなぎる。けれどさんざんエイドのWGHプロ粉末を貰ったり自前のアミノバイタルプロ粉末も飲んだりとサプリの薬漬け状態なのだけど、もう効かなくなっていた。

ここから向かうは、さすがJR最高所の野辺山高原。線路沿いを走っていても登りがキツいが、ハイブリッドトレインが通りかかったのが少し嬉しい。登り坂でライバルから逃げても平坦になると抜かれる、の繰り返しで残り10km、そして5km。前半の林道で痛めた右足首が炎上しているし、とにかく両足裏が疲れで痛いし、脚の推進力も終わっている。どうか安全に、脚が壊れないようにスローペースを維持するのが今の私に出来る精一杯。ずりずり落ちる順位は気にせず、ぎりぎりでも10時間を切れるよう残り時間から計算してペースを作ろう。でないとここまでの作戦失敗が全て後悔に変わってしまうから。

こんなキツい思い二度とするものか。そう思わずにはいられない100kmだったが、両手に十本の指を立ててついにゴールテープを切った。記録は9時間52分52秒で25位。割とギリギリだったけど、日本屈指の難コースと言われる野辺山での初ウルトラ挑戦は、何とかサブテン達成で飾れた。ウルトラ完走の重々しいメダルを掛けてもらえたのも嬉しい。しかもゴール後すぐに、42kmの部に出ていたタダノブさんが私を見つけてくれてハイタッチ! 喜びの瞬間を伝えられる人がいて、今回はラッキーである。で、やっぱりここでもエイド食を食い漁る。
体育館で預け荷物を受け取って、その重さにふらふらになって「もうダメだ」とつぶやいて大の字に倒れる。高い天井の鉄骨や明かりが降り注ぐ。ウルトラマラソンが捕虜の行軍と違う点はこれだと思った。

100km_goal 立ち上がってタダノブさん御一行にも顔見せをし、ゴールシーン等の写真撮影もしてから近くのいこいの家でひとっ風呂。野辺山からの帰りの気動車は座れて助かった。しかし全く未体験だった苦しみの産物、筋肉痛はもうバリバリ始まっていていつ治る事やら。フルでサブスリー、ウルトラでサブテンの実績を手に入れて思い残す事は無いし、もうしばらくジョギングは止めて休養したい。

コメント

コメントを投稿

つぶやき

最近の投稿動画

相互ブックマーク

勝手ブックマーク

更新ブログ

他の所有アカウント

Powered by Six Apart
Member since 05/2005