(前日編からのつづき)
地元市内などの例外を除き、私が同じイベントに2回参加することは滅多にない。しかし某運営さんがモデルと思われる新キービジュアルを見て笑い転げてしまい、勢いでポチってしまった。当日を迎え、小諸市の高台にある会場に続々と集まる参加者たち。昨年にも増して多種多様な痛ジャージが群れをなす。凛ちゃん、曜ちゃん、ルビィちゃん…吸い込まれそうになるな。だがよく見ろ、それはピカッとオジ☆チャンどもの哀愁を帯びた背中だ。無理解自慢な大人など存在しようはずもない。朝7時ちょっと前、「痛」快な300人のメンバーがグランフォンドKOMOROを一斉にスタートする。
少しずつばらけながら、とりあえずKさんGさんと編隊走行。だが距離100km、積算標高差2,270mを謳うルートの中で、DPTNな道は序盤のみ。軽井沢の第1エイドでタイヤキを食べてからいよいよ登りが始まり、「むりー!」と叫んで脱落する。恋のヒメヒメぺったんこを口ずさみながらマイペースで登っていくと、浅間山が目前に大きい。峰の茶屋を過ぎて群馬県側に下りて行くと北軽井沢の第2エイド。チーズが旨い。
自分はレース向けとは違う実用的な脚力の維持向上を目的として、また目立ってナンボというイベントの性格から「クロモリ重戦車ゆるキャン装備」と銘打ち、自転車に全ての荷物を積んで走っている。ウェアは黒森峰女学園。下り坂で防寒しても痛さがスポイルされないよう、ゆるキャンのウインドブレーカーも買っておいた。これ隙を生じぬ二段構え。他の方もおよそロングライド向けとは思えぬ痛ディスクホイール、小径車、ファットバイク、コスプレ衣装など思い思いのこだわりが見られる。ただ今日に限ってはスピード重視も正解であろう。雨がぽつぽつと降り出してきた。
県道112号「大前須坂線」の登りに入る。去年とはコースが変わり、より奥まで行けるようになった。懐かしい干俣の集落。そしてこの山のどこかに、私の身代わりになって死んだランドナーが眠っているはずなんだ。いつのまに毛無道分岐を通り過ぎ、嬬恋の第3エイドに到着。炊き込みご飯と豚汁は旨いが、これから地蔵峠に向かうにはちょっと物足りない。いや、私の燃費が悪すぎるだけか。
ルートのハイライトであるつまごいパノラマラインはすっかり本降り。愛妻の丘に寄り道して、赤アミノバイタルゼリーを補給してから次の登りに挑む。新鹿沢温泉ミニエイドでウインドブレーカーを脱ぐと、その下に現れたゼッケンを見てスタッフが「あ、参加者の方でしたか! てっきり旅の人かと」。長い長い登りを経て、新・最高標高地点1732m地蔵峠に到達。湯の丸第4エイドでカレーライス等を頂く。今年はうまい棒食べ放題とかは無いのか。
ここでカレーメンを作って食べる予定だったが、もう土砂降りでそれどころじゃない。クッソ重いガソリンストーブ、コッヘルと余計に積んだ水は全て単なるバラストとなった。雨に強いランドナーの面目躍如とばかりに、長野県側へ豪快に下りてゆく。着替えも全部積んであるのだから着込もうと思えばいくらでも出来たのだが、ビジュアル重視で上2枚のまま下りてしまった。里に着くころには「これ、やばくない?」ってくらい体がガタガタ震える。上り勾配がむしろ有難いが、このままではガス欠必至なので一旦バス停小屋に避難し、砕氷艦しらせツールボックスに入れておいたレーションを補給する。
おかげで、去年めちゃくちゃ苦しんだ最終難関「菱野温泉コークスクリュー」を余裕を残してクリアできた。第5エイドのいなりや苺を食って、あとほんの2.5km走ればゴール! 目標の午後2時を少し過ぎたが、上々のペースだった。シャカリキにペダル回したあとはアイスクリーム! アイスクリーム! それと暖かい山菜蕎麦も頂いて・・・あれ、大幅に先行していたはずのKさんGさんがいない。あまり雨が強いようなら先に帰るよう伝えてあったし、低体温症で連絡どころじゃなかったとか、あるいは…。
ゴール入口に気づかず、軽井沢まで行ってしまったと半泣きでスタッフに訴える女性を見た。ツイッターを確認しても、少なからぬ人が同様に通り過ぎていたことが分かる。道路の右側になつまちポップを置いただけでは、分かりづらかったかも知れない。極度の疲労と空腹、低体温症に襲われれば、脳力指数300ある人でも1くらいまで落ちるもの。スタッフにそこまで想定しろというのは酷だろうか。自転車に対する標識は徹底的に左側に置かなければならない。あと去年に比べて立哨がごっそり減ったが、この雨では仕方ないね。いずれにせよ、昨夏マウンテンサイクリングin乗鞍の運営がやらかした大失態に比べればかわいいものである。
確証が無いまま、列車時刻の都合もあり会場をリーブ。ここから駅への下りは、道路が川のようで一番怖かった。雨に濡れてさらに重くなった輪行。松本に帰宅して石油ストーブをがんがん焚くが時既に遅く、体調を崩してしまったようだ。
最後は少しほろ苦かったものの、むちゃくちゃでゆるくて試練で天国で。不思議とまた参加したいと思えるイベントだった。他の参加者や運営さんのアフターレポートを読むのも楽しみなものである。
(※今回動画撮影はありません。)
最近のコメント