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8/17-18 日南去ってまた一難

147いっぺん突風でテントごと吹っ飛ばされそうになったが、涼しかったぶん今迄で一番良く眠れた。オリオン座が昇る未明、さいはての駅、枕崎で輪行。もうサイクリングなんてしない。指宿枕崎線の2両編成気動車に乗り込む。始めは3人だった乗客も、進むにつれ指宿高の生徒で賑やかになってくる。開聞岳にさよならを。

鹿児島中央駅で18きっぷにスタンプを押して貰い、日豊本線への電車に乗り換える。車窓には、我が胸の萌ゆる思いに比べれば煙はうすし桜島山。ハロ(円形の虹)が出てる。うとうとしてる間に宮崎県に入り、宮崎駅で日南線への快速に乗り換える。単行気動車で始めは混み合うが、進むにつれがらがらに。

Halo車窓には鬼の洗濯板、そして今回の旅で初めて自転車旅行をしている人を見かける。九州一周かな? また鹿児島県に入り、さいはての駅、志布志で降りる。これで三角線と合わせて3つの盲腸線を制覇し、鉄道好きご満悦。さてフェリーターミナルまでの1.6kmを輪行袋を担いで歩くか、いちいち組み立ててまた輪行するか、と思案していたらどうやら路線バスがある。「志布志港入口」行きと「志布志港」行きで到着場所が全然違うのが紛らわしいが、無事楽して移動完了。そういえば鹿児島土産がまだだった。売店のかるかんにまっしぐら。

さんふらわあ きりしま。まもなく新造艦と入れ替わる旧式だし錆も目立つが、立派な艦容にテンションが上がる。乗船から出航までの間ずっと「さんふらわあさんふらわあ、太陽に守られて行こう〜♪」と洗脳BGMが流されてるので、あーあ、もうみんな口ずさんじゃってるよ。夕方6時、手を振り合いながら岸を離れていく。ボーーーーーーー!! 今生の別れを思い起こさせるような汽笛が、胸にズシンと響く。九州にもさよならを。

Sbsport夕食はバイキング形式。ここで野菜不足を解消するはずがつい、肉肉魚肉肉揚げ物! ぶっちゃけありえない量を取ってしまった。なんとか完食したと思ったら、良く見るとデザートバイキングもあるし。もう別腹別腹。これから吠える40度、狂う50度、絶叫する60度…ってわけじゃないけど、瀬戸内航路に比べれば結構揺れるよ? まぁまだ大丈夫だろう。ロビーでくつろいでいると絵本コーナーに銀河鉄道の夜を発見。藤城清治影絵の素敵なやつだし、読みふける。

繁忙期の雑魚寝クラスは地獄なので、早めに寝台クラスを取っといて良かった。志布志発なのは、元々宮崎県の秘境や大隅半島を走ろうと考えていた名残である。そちらもいずれ…。

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Osaka海岸線の灯りは四国だろうか。やがて東の水平線に朝日が昇る。紀伊水道から紀淡海峡を抜けるフェリー。眩しい島々、そしてミナミやキタのビル群が近付く。また、こんな旅がしたいなあ!

しかし悪天候の影響で入港は1時間遅れになるという。そんなに揺れたかなあ、熟睡していて気付かなかった。やよい軒高槻店で朝食を頂いてる場合では無くなったし、次の予定も危ない。大阪南港で下船次第シャトルバス、さらに急いでトレードセンター前駅からニュートラム、地下鉄中央線、JR環状線、京都線と乗り継ぐ。

Muko新しくない方の快速に乗り、京都府の向日町駅で途中下車。しばらく歩くと神社の敷地に向日市天文館がある。向日と聞いて宮崎県にあると勘違いしていたくらい知らない土地だが、プラネタリウム版planetarianの夏バージョンがここで本邦初公開されている。内容はアニメの投影機修理シーンがばっさりカットされているなど、初見の人には唐突そうな進行だが、劇中の投影シーン再現はプラネタリウムでしか得られない体験だ。館内に職員手作りの「ゆめみの花束」が供えてあるなど、この施設なりの作品愛も多分に感じられた。これで郡山×2や豊橋と合わせて春夏秋冬バージョン揃ったことになる。でももっと、細々とで良いから全国で星の人の系譜を繋いで欲しい。

予定は全て完了。あとは松本駅で輪行を解いて帰宅するだけ。溜まった新聞にざっと目を通してみるが、情報を遮断していた間、大きなニュースといえばイタリア橋がフォーリンダウンしたことくらい。自室でネット漬け、外出先でも背中を丸めてスマホをいじくる日常が帰ってくる。当面は暑き旅の七日間を振り返りながら、ブログにまとめていこう。そして、先の事など考えるものか。

8/16 砂に還る人の群れは誰も雄弁で

朝日が昇るー、私は旅するー♪…ってキャンプ場晴れてるじゃん。雨予報とは何だったのか。でも開聞岳は分厚い雲に覆われてるし、一度諦めるとずくが出ないから登山は止めた。それなら、昨日スルーした場所に全部寄ってやるんだ。という訳でまず南麓の周回路を行く。海岸の花瀬望比公園には、フィリピン戦線から帰れなかった兵士を鎮める碑や像がたくさん並んでいる。居合わせたライダーさん曰く、昨日台風が来てたけどもう日本海側に抜けたよと。

Nagasakiスリル満点な細長いトンネルを抜けると川尻集落。民家にラブライブの痛車が駐めてある。薩摩半島最南端の長崎鼻は、崩れたコンクリ歩道が岩場に続いているのが冒険心をそそる。海が時化てて怖いけど。おまけにまた土砂降りがやってくる。今日も目まぐるしい天気になりそうだ。激坂を下りて高波が洗う道を決死の思いで駆け抜けると、山川砂むし温泉。やっぱり指宿市まで来たからには、これをやっていかないと。浴衣姿で砂に埋められ、やがて全身の脈拍が全部触覚に跳ね返ってくる。

Power市街地にある施設より穴場な気がするけど、掲示物によれば「三月のライオン」の聖地らしい。なるほど、明らかにそれ目当てという挙動をとる兄さんが居るわ。さつまいも蒸しが安くて旨い。あっ、開聞岳が一瞬晴れた。このタイミングで山頂に居た人は歓声を上げたろう。またすぐ笠雲に覆われた。続けて九州電力の山川発電所を無料見学。そこかしこに張り巡らされたパイプが萌え。謎映画を観たり内部見学ツアーに参加したり、おまけに記念ハンカチまで頂けた。地熱発電バンザイ!

Ikedaさてゆっくりし過ぎて、午後の予定がタイトになってしまった。枚聞神社(ひらききじんじゃ)をお参りして九州最大のカルデラ湖、池田湖へ。どしゃー、また雨宿りだー。頴娃(えい)から茶畑の広がるシラス台地を北へ、知覧武家屋敷に到着。「Chiran Samurai Residence」という標識があちこちにあったもんで、それだけでカッコ良かった。時間なく、石垣の通りをさっと抜ける程度だが。

知覧特攻平和会館に間に合い、中へ。数多の遺書絶筆に胸が締め付けられる。館内撮影は禁止だが、これだけ記憶した。

「決して泣いてはいけません。私は名譽ある特攻隊員です。ほめて下さい。笑って下さい。」

Chiran実は私の祖父も特攻隊員だったらしい。いよいよ特攻機に乗り込む順番が回ってきた時が73年前の昨日、玉音放送。わずかにタイミングが異なれば、私の母さえ存在しない世界線だった。

このサイクリングもそろそろ終戦としよう。南西に向かって最後の脚力を振り絞り、枕崎市に到着。本日走行90km。駅前の銭湯で汗を流し、ゲリラキャンプも最後。スーパーの惣菜だけど、枕崎産かつおのたたきを食べる。グルメグルメ。

8/15 奇奇開聞

地面からも熱気が伝わる夜でほとんど眠れなかったが、朝になったから出発だ。新幹線もある川内駅で一休みしてから、国道3号を南へ向かう。ゆるゆると昨日の疲れを回復させながら…なんて出来るかなぁ。串木いちき野市だったかいちき串木野市だったかを過ぎ東へ、薩摩半島横断は県道24号を選択。美山という陶芸の里があり、あと謎の廃線跡と交差する(後日調べたら南薩鉄道が枕崎まで通じていたらしい)。伊集院駅前のローソンで早くも大休止。馬鹿力は出そうにない。

Sakura鹿児島市に入る。きっぷ販売機の駅名検索で「まつも」まで入力するとサジェストされることで松本市民には有名な(?)薩摩松元駅がある。この辺りで、朝から時々ぱらついていた雨が本降りになってきた。少しなら涼しくて気持ち良いけれど、土砂降りは雨宿りしてやり過ごす。峠を越え、鹿児島中央駅前に到着。すげえ、巨大かつ賑やかな駅ビルに観覧車まである! ここは九州の果てではない、中心にしてやるぞという気概を感じる。大河ドラマによるフィーバーもあろう。国道終点の碑(3号10号225号)や西郷隆盛像を見て、フェリーターミナルに寄り道。「昔走った道」とこれで接続。ばかばかと距離を稼ぐような走り方をしたのはこのため。自転車乗りのロマンなんだ。

桜島山は雲をかぶっているが、行き交う客船と意味もなく手を振り合うのが楽しい。うーん、ボクも種子島に渡ってみようかな。時化てそうだからやめとくべ。昼食は元ダイエーで…あっドムドムがある。鹿児島まで来てドムドムかよと思うが、これを逃すと一生食いっぱぐれるかも知れない。チキンバーガーセットを注文。旨くも不味くもない。午後のランもゆるゆると開始。路面の黒い砂は火山灰だろうか。産業道路を南へ急行するが、空は土砂降りとカンカン照りを繰り返す。昨日まで酷暑が続けば潰れていただろうから恵みの雨だけど、お肌には優しくない。

Chirinずっと錦江湾を左に見る国道226号。スタミナ切れのため道の駅喜入、さらに指宿市に入って道の駅いぶすきで休憩。特産オクラの刺さったソフトクリームがシュール。それにしても向かい風が妙に強いのだが、まさか台風が来ているのだろうか。一個前の台風が過ぎたタイミングで九州入りしたからヘーキヘーキと思っていたが。ああもう時間がない。田良岬の砂のかけはしも遠目に駆け抜け、指宿の温泉もスルー。スーパーで買い出しついでにテレビを見ると、画面隅に明日は降水確率80%と出ている。

Nishioo火山台地のアップダウンをこなしていくと、ついに目前に現れる開聞岳。後方羊蹄山みたいなのをイメージしていたが違う、ちゃんと南の果ての雰囲気がある。そう、あれに登るつもりで準備してきたのだが、天候次第で無理かも知れない。最終判断は明日の朝に行う。JR最南端駅の西大山(にしおおやま)はさすがの人だかり。サクッと撮ってもうひと登り。夕方6時きっかりに、かいもん山麓ふれあい公園キャンプ場に到着。本日走行125km。

ミニゴルフ場を兼ねた、芝生の素晴らしいサイト。せっかく有料のキャンプ場を使うんだからレトルトじゃなくて、ちょとはマシなキャンプめしを作ろうぜ。ひき肉をたっぷり炒めて、豆腐ともやしをぶち込んで、麻婆豆腐の素をぶち込んで…これが私の精一杯。

Campこんなにだらだらでも、日常の象徴であるスマホをいじくり回しながらの旅とは異次元の密度を感じられるようになった非日常。クラウドに預けていた時間軸が、自分の背骨に戻ってくる。

8/14 天草道草

Hondoああ寝坊、キャンパーが明るくなってから起床するとは何事だ。でも朝食とインスタントコーヒーというルーチンをこなしてから出撃、ロザリオラインを西へ進む。天草上島と下島を分ける本渡瀬戸には大きなループ橋の他に歩道橋があり、船が通行する際に中央部がせり上がる昇開橋方式。珍しいので動く所を見たかったが、船の気配がなく断念。国道266号を内陸へ、デッカイジャスコ、亀川ダムを過ぎて南へ。

Sakitsuピストンになるが羊角湾を西に道草。トンネルを避けて小さな半島を回ったところで、さらに小さな湾の向こうに﨑津集落が見えてくる。一月半前に登録が決まったばかりで出来立てほやほやの、ワールドヘリテージな世界遺産である。道の駅の係員もこれから忙しくなるぞーという体制。天主堂は昭和時代のものだが集落のシンボルで、中に入ってみる。キリスト教の教会は初めてで勝手が分からん。手はこうやって合わせるのか?賽銭は5円でいいのか?…。頭の中は賛美歌312番「いつくしみ深き」ががんがん流れているけれど。記帳を見ると、昨日も長野県松本市からの来訪者がいるな。杉ようかんを食ったり、長野県民ならスルー出来ない諏訪神社をお参りしたりして、さよなら﨑津。

Eboshi島南端の牛深に辿り着き、まず防風壁が眩しいハイヤ大橋を登る。これ、べた踏み坂だ。橋の途中で下須島(げすしま)に渡り、またいくつかアップダウン。発汗がすさまじく意識が遠のいてきたところで、ハッと我に返る光景。明治期の炭鉱「烏帽子坑跡」だ。まるで海中ダンジョン入口を思わせる坑口は今にも崩落しそうで、美しくも物悲しい。天草観光はいろいろ省略してしまったけれど、ここだけは外せなかった。牛深に戻って郷土菓子「こまきちゃん」を頬張りつつフェリーに乗り、熊本県を離れる。船旅特有の、この染み出すような旅情がたまらない。

(この日、牛深では気温38.2℃を記録したそう)

長島の蔵之元港で下船。せーので、かごしまっ! しかしいきなりの坂道続きに、むりー! 道の駅に逃げ込み、島みかんアイスを食いながら茫然とする。暑さには人一倍強いつもりだが、もはやこれまでか。でも先は長いからゆっくりでも進まないと。心拍が上がらないよう気を付けて、しつこく続くアップダウンをこなしていく。島南部の段々畑が美しい。ぼよよん、ぼよよん。黒之瀬戸大橋に至り、もうスポーツドリンクはケチらず飲みたいだけ飲む方針に転換。リットル単位で減っていくし、自分史上最大の消費量だろう。

Ningyou九州本土に復帰しさらに南へ。きまぐれに肥薩おれんじ鉄道の単行気動車が通り過ぎて行く。阿久根市街地に入ったが、明るいうちからキャンプしても暑いだけだし、さらに次の街を目指そう。向こうに見えるのは川内原発か。こちらが先にメルトダウンしそうです。国道3号の333km地点を過ぎて夕暮れ、川内市街地に到着。今日はとうとうスポーツ自転車を一台も見かけず。こんな日は走っちゃダメでしょうって時に150km余り距離を稼いだ。良く走ったと思うが、明日が心配。

白和温泉という銭湯を探し当て、さっぱりする。公園でゲリラキャンプ、でも米は炊く。

8/12-13 今すぐミスミー

Nakatsu「ぼーっとしている時間が一番の贅沢なんだよ」…古い友人の言葉だ。今年の夏休みも輪行して遠くへ旅に出る。ケータイ・スマホの類は持たないから、本当にぼーっとしているしかない。うとうとと大事なことを思い出しては、ふと気づくと忘れている。そんなことを繰り返して、松本駅から岡山駅まで来た。鈍行は一旦打ち切り、山陽新幹線に乗換える。青春18きっぷだけで九州上陸するのはキツいのと、どうせ今は豪雨災害で不通箇所が多いのと、東京発の「のぞみ」はこの辺りで地獄の混雑が解消されるからである。

小倉駅からまた鈍行で日豊本線。海沿いに大分県に入った所の中津駅で下車、自転車を組み立てる。からあげが名物らしいがもう飲食店は居酒屋しか開いてないし、スーパーの惣菜でいいや。いちおう福沢諭吉旧居や黒田官兵衛ゆかりの合元寺(ごうがんじ)赤壁を見て、中津城近くでゲリラキャンプ。

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Yabakei明くる朝、早速蒸し暑い。山国川に沿って南下し、スゴイデカイジャスコを過ぎるとメイプル耶馬サイクリングロードに入る。耶馬溪鉄道の遺構も残る、走り易くて楽しい道だ。青の洞門にも寄り道。パスタソースではない。このへんは昔走ったっけ。

サイクリングターミナルとやらには、屋外にトイレと自販機くらいはあって欲しかった。ここから県道28号でさらに南へ登って行く。耶馬溪には本耶馬渓、奥耶馬渓、裏耶馬渓、深耶馬渓、椎屋耶馬溪とあって、ここはシン・ヤバケイ。「一目八景」は紅葉は素晴らしいだろうが、夏場は深くもない谷底から岩場を見上げるだけって感じだ。

Mori標高480mの峠トンネルを抜けると、玖珠町の市街地に入る。まもなく豊後森機関庫が見えてきてテンションアップ。ラブライブサンシャインの聖地で、もう頭の中はHAPPY PARTY TRAINが流れまくり。まるであやとりの箒のような線形の転車台と車庫で、ガラス窓の割れっぷりが廃墟チックで激萌えである。まだ朝方なせいか、聖地巡礼の同業者等は見かけなかった。

さてどっちへ走っても魅惑的な観光スポットが目白押しだが、ここから汽車に乗って旅立つのが良い。輪行して、豊後森(ぶんごもり)駅10時発の久大本線に間に合わせる。日田〜光岡(てるおか)間は豪雨災害から先月復旧したばかりで、バラストが真新しくここだけ乗り心地が良い。

Nishiko久留米駅で鹿児島本線の電車に乗り換え、さらに南へ。8分遅れを解消せんとする回復運転がエキサイティング。熊本駅で無事に三角線の気動車に乗り換え、島原湾の向こうに雲仙普賢岳を眺めながら最果ての駅、宇城市の三角(みすみ)に14時半到着。教会風の駅舎、あと謎ピラミッドがある。それにしても暑い。日の高い時間を鉄道でやり過ごしたのは正解だった。

せっかくだからワールドヘリテージな世界遺産、三角西港に寄り道する。まぁ写真を撮るくらいだが。いよいよ天草五橋に取り掛かり、まず天門橋で上天草市の大矢野島に入る。買い出しでスーパーに寄ると、BGMにWATER BLUE NEW WORLDのインストが流れてて、ラブライバーにっこり。天草四郎の像は同じポォズで写真を撮り、大矢野橋を渡った永浦島ではシオマネキが見られるらしいので海岸に下りてみる。この浜ではなかったようでシオマネキとは別種だが、先を急いでいることを忘れてしばし蟹とたわむる。

5bridgeあちこちにサイクルラックを設置してあるのだが、続く中の橋、前島橋、松島橋…どれも自転車では渡りづらい設計なのが勿体無い。上島の天草市に入り、道の駅有明あたりで今日のラン終了。走行合計94km。米を炊いてレトルトカレーを流し込み、併設の温泉「さざ波の湯」に入る。休憩室のテレビで天気予報を見ると、今日三角で37.7℃を記録するなど熊本県各地で史上最高を更新。明日も同様の暑さが続くとのことで、サイクリングは命懸けの特攻になりそうだ。

はるか島原半島の海岸に横一線の灯り。空には夏の大三角からさそり座に向かって天の川。すっかり遅くなった、寝よう。

8/4-5 はちもりはいつも晴れ

Nomata土曜の午後、松本ぼんぼんに背を向けるようにフル装備のチャリで朝日村へ。さらに奥地へ登った所に、あさひプライム野俣沢林間キャンプ場がある。せせらぎのフリーサイトにテントを設営し、とりあえずご飯を炊いてレトルトカレー。このままうだうだしていたいが、ご飯が足りないから仕方ない。チャリで村の中心部へ下りる。

Onatsu

村役場の新庁舎を覗くと、大会裏方のMさんKさんらに遭遇。すなわち松本ロゲイニングのスタッフさんである。さらに建物内で、羽多野渉=サンのサインを発見! アニメでメイン級キャラを数多く務める声優で、村が産んだ二大スターの一人と言えよう(あと上條恒彦=サン)。運動広場では「お夏まつり」が開催中。こんなに子供が住んでいるのかと驚いてしまうほど盛況、と言ったらスゴイシツレイだろうか。謎歌で楽しそうに踊っている。「信濃の国ハッピー&パピー・バージョン」は私がニコニコ動画にハマった元凶なので、なんだか懐かしい。たこ焼きなどを食いつつ見物。たこたこ〜。

カメラマンのHさんにも遭遇。初代チャンピオンを狙っているのなどと聞かれるが、そんなタマじゃないし夏場は特にトレーニングしていない(7月は150km足らず、これでも頑張った方)。時間内完走さえ出来れば良い。何時間制限か知らんけど。ところで夏まつりじゃなくてお夏まつりなのは、お夏の伝説に由来しているようだが、詳細は不明。イベントはまだ続き最後には花火もあるようだが、明日は早い。キャンプ場までヒルクライムで戻り、シャワーを浴びて就寝。

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Start日曜の朝、寝袋なしだったもんで身体がキンキンに冷えてやがる。アイシングばっちり、寒さに震えながら村役場の大会会場へ。『第1回鉢盛山登山マラソン』。不思議な不思議な松本平、東に鉢伏、西鉢盛。筑摩野人なら一度は制したい山だが、個人で登る場合は役場から林道の通行許可が必要だったりで面倒。そこでこのチャンスにと軽い気持ちでエントリーしたのだが、ロード・林道・トレイル合わせて距離38.3km、比高1,620mというボリュームはなかなか想像がつかない。予想気温36℃もやばい。早々定員に達したという200名(+ショートコース100名)で和やかに記念撮影が行われたあと、7時に号砲が鳴る。

スロウスタートを心掛ける…つもりが、やっぱり押せ押せになっちゃうんだ。それでも先頭はもうはるか前方へ。最深部の御馬越(おんまご)集落を過ぎると林道エリアの砂利ダートになる。「標高が上がると涼しくなるよ!」なんて気の利いた標識を立ててあるが、逆に言うと「標高が下がると暑くなるよ!」とも言え、復路が恐ろしい。とにかく集中集中、じわじわと前を追い、後ろを離し。

Hanshaそれも長くは続かず、林道エイドあたりで失速。登山口に到達した所で17番目と言われる。もうレースって雰囲気じゃなくなり、のんびりバナナやきゅうりを頂いてからいよいよトレイルに取り掛かる。村界尾根まで距離900mで500mアップと云う急登がエグい。もう脚も肺も心臓も言うことを聞かないし、休み休みになる。尾根まで出たところで女性1位にも追い越される。自分はカロメゼリーを摂ってからリスタート。

ここから楽な尾根道…だが脚がつりそうで、しばらく歩いて回復を待つ。折り返してきたトップランナーが凄い勢いですれ違っていく。そう、急登ですれ違いになるのは面倒だがら、前半ここまで無理押ししたんだ。「富士登山競走は馬返しまで無理押ししろ」ってのと似た理屈だ。甲斐あってギリギリ間に合ったのだ。権現の庭や避難小屋を見て、標高2447mの山頂に到達。そのすぐ先に折り返し地点の反射板があり、スタッフさんから登頂証の木札を受け取る。これがないと完走扱いにならないルールらしい。

すっかり観光登山モードで、緊急連絡用に所持が義務付けられているスマホで写真を撮ったり、スタッフさんに撮ってもらったり。景色は穂高・槍〜常念が分かりやすく、下界に比べりゃ少しは涼しい。名残惜しく山頂を去り、苦手な下りへ。でも下り優先ルールだから、みんな避けてくれてモーゼ気分。もちろんケースバイケースでこちらが退避することもある。村界尾根からの急下りは本当に苦手。どうして皆、羽のように丘を下れるのかしら。自分は慎重に転ばないように。登る人を待たせちゃうが、きっと脚休めの良い機会と考えてるずら。

Dart腕力が必要なシーンはなく、懸念の肋骨ヒビの影響はほぼ無かった。最後尾とのすれ違いも済み、登山口エイドに戻る。給水がもう不足気味で、ごくごく飲めない。代わりにきゅうりを無心でがっついてしまう。ごめんなさい、だって世界一美味しかったんだ。またバナナと、あとフラスクに七分目ほど水を貰う。ここまでずいぶんゆっくりしてしまったから、30位近くまで落ちたんじゃないか。林道下りに入ると、エイドへの補充水を積んでいると思われるスタッフカーとすれ違う。

諦めずに走っていればじわりじわりと前走者が見えてくる。つーか歩いてやがる。林道エイドで給水後も気を緩めず、一つ一つ順位を回復させてゆく。ロードに入った所で靴の中の小石を取りたかったが、少しでも前を追うという気持ちの方が強く、そのまま走り続ける。レースの気持ちに戻ったのだ。するともう、わらわらと現れる歩行者たち。ショートコースのランナーがまだコース上にいるのかとゼッケン色を確認するが、確かに山頂コースだ。ヒャッハー、こりゃ楽だぜ。しかし各々、この猛暑ではそうするのがベストと判断してのことだろう。正午の太陽が照り付け、常識的には運動禁止な気温。自分の身体もギリギリのレベルで闘っている。はたらけ俺の細胞。

Slope緑のコロシアムエイドで最後の給水を摂ってからは、フラスクの残り水と相談しながら進む。もっとこまめにエイドが欲しいところだ。復路は針尾集落の中を通るルートで、住民が暖かい声や冷たい水を掛けてくれる。極めつけは消防ホース! 思わずバンザイ突撃して、無事ずぶ濡れ。

旧役場あたりでも数人ぶち抜き、20位以内に返り咲いたか? ラストに結構な登り坂しかも南向きがあり、ここで倒れたら焼き土下座になる。また脚がつりそうで、何とか走っている状態を維持するのが精一杯。登り切ってキャベツコーナーをクリアすればゴールゲート。スパートを決めつつフィニッシュのテープを切った。

手書きの記録証によればタイム5時間18分40秒、順位不明。振り返ればまず「過酷」の二文字が思い浮かぶし、水分を1リットルは持つ必要があるなど自己責任も大きい。でも他にはない良い経験が出来たし、チャレンジし甲斐たっぷりで、お前もやってみろよと人に勧めたくもなる大会だ。ふるまいのスポドリ、サラダやスープ、おにぎりを頂いて、ファミマで赤コーラを呷る。新庁舎の中はエアコンが寒いし、外はすごく暑いと感じる、わがままな体調。

End日向で誘導やアナウンス等しているスタッフさん達は、炎天下によく耐えられるなと思う。選手として走ってたほうが楽ちゃうか。男子表彰式も照り返しの強い駐車場では、関係者以外に私しかいない状況。式に駆り出される村長さんも大変だが頑張っている。レースはサバイバルの様相で、完走率とかどんなもんだったんだろう。救急車沙汰も、この暑さでは仕方ない。結局追いつけなかった女子1位らの表彰まで見て、お別れ。フル装備のチャリを曳いていたら、ボランティアスタッフのお姉さんらが野菜をくれた。高騰のおり、有難い。旅に出るまでの6日間で食べきろう。

帰路はお夏の碑を見ていく山形村ルート。帰宅するなりシャワーを浴びて、数年ぶりに扇風機を稼働させる。外気温以下には下がらないけど。県知事選の不在者投票は済ませてあるし、バタンキュー。

今日のレースはトレランシューズ(サロモンセンスプロ2)で出たが、それでもトレイルエリアでの弱さが際立った。これを克服できれば、来年はもっと上を目指せるかも。あはははは。ともかく記念すべき第1回大会で無事生還できたことは、誇りに思おう。

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翌日有休を利用して去年のマウンテンサイクリングin乗鞍参戦記をアップ。酷い筋肉痛。さあ、夏休みの計画を今から立てよう。

【追記;リザルト】

タイム 5時間18分40秒
総合順位 23位 /完走102名/参加178名/申込203名中(完走率57.3%)

※終盤もっと抜いたのでは、と思ったら、関門で引っかかって自力で引き返している人たちだった可能性。上位進出は甘くないね。

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