三本の矢で知られる小早川隆景の居た三原城は、本丸を山陽本線・山陽新幹線が貫いてる珍しい城跡で、天守台へは駅の自由通路から入る。ここ数日、新聞連載の「三人の二代目」を読んでないが、どこまで話は進んだろうか。
電車で尾道駅に移動し、7時半にジョギング開始。まずは千光寺公園への階段を駆け上がるが、さっそく歩きが入る。この先大丈夫か? ポンポン岩からは尾道水道の見晴らしが抜群。朝ドラ「てっぱん」の主人公はこんな所をママチャリで余裕で行き来するのだから、将来有望なヒルクライマーに違いないのである。ここ数日テレビを観てないが、どこまで話は進んだろうか。
数々の映像作品のロケ地に来ている興奮は最高潮に達しつつ、福本渡船で向島に渡る。60円。ここからはいよいよ走りっぱなしになるし、日焼け止め等の身支度を整えて再出発。本当は自転車を連れて来たかったが、故障中だから仕方ない。「死後の為にせいぜい地獄の楽しみ方を予習しとこうぜ」と余裕こいてられるのも今のうち。
しまなみ海道を因島大橋、生口橋と渡ってゆく。ただ走るだけなら難しくないだろうが、問題はデイパックに着替え・お泊りグッズ・時刻表・地図類が満載で異様に重いこと。脚より先に肩がイカレるんじゃないかと。腰に当たる部分が擦れて痛いし。みるみるペースは落ち、午前中に渡り終える予定だった多々羅大橋は14時を過ぎた。大山祇神社への寄り道は無理っぽいし、まっすぐ大三島大橋へ向かう。渡り終えた所で、渡船に同乗していたサイクリストの折り返しとすれ違う。自転車の場合は橋ごとの料金函にサイクリングチケットをちぎって鼻毛ちぎって鼻毛することになるが、ジョガーは多分歩行者扱いだから無料でいい。
塩ソフトクリームを食ってから伯方・大島大橋を渡り、もう暗くなってしまった。明るいうちに全部渡り切る作戦だったのに、歩きや休憩が多くなる。ペースが落ちれば落ちるほど、到着時刻は永遠に訪れない。人はこうして無限の意味を知る。
肩やふくらはぎ、足裏の痛みを無視すれば走れるが、それがどれだけ長続きするかは精神力次第。来島海峡大橋が見えた時、ついに最後の橋まで来たという感動と、まだあの巨大かつ長大な建造物を越えなければならない恐れで感極まる。フェリーもあるけど、ここまで来たからには何としてでも自分の脚で渡りたい。
漆黒の海に身を投げれば楽になれただろうに。無事四国に上陸し、あとひと頑張り。途中で銭湯が開いてるのでゆっくり塩を流し、残りはほぼ歩きとなって22時半、今治駅前にゴールした。約70kmの海越えであった。
しかしホテルをとる予算は尽きている。もう食堂とかやってないのでコンビニおにぎりをかじりつつ、駅からやたら遠いインターネットカフェまでふらふら歩く。ネカフェなんて生まれて初めてだが、PCの電源も入れず漫画も読まず。水分の抜け切った体にドリンク放題がただ有り難い。明日始発に間に合わせる為、5時間パック1200円で十分。フラット席で完全に横になれる。
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