8/24-25 リズムに乗り鞍
土曜の午後、松本市街地の自宅をランドナーで出撃。波田町のスーパーで遅い昼食を取りつつ、トンネル街道を西へ西へ。渋滞はなく、また自分が渋滞の原因になることもなく、二年ぶりに乗鞍高原にやって来た。受付と買物を済ませ、坂の下の方の民宿に到着。同宿のメンバー達がもう酒盛りをしていて、勧められるがままに缶ビールを飲む。その後に鮎や馬刺し等の美味しい夕食。しかし数カ月ぶりにアルコールを飲んだのが効き、食後は温泉に入るのが精一杯。本番の宴会に参加すること叶わず、部屋に戻ってバタンキュー。
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結果的にかなりの長時間睡眠になった日曜の朝。良い天気になりそうだ。朝食後、支度を済ませて会場へ登っていく。これが良いウォーミングアップになる。さすが乗鞍というごった返しっぷりのなか、荷物預けを済ませて待機。涼しいがひなたなら暖かい、絶好のコンディションだ。痛ウェアの人は少なくなったと感じるが、ゾンビランドサガなど比較的新しいものも。あと艦これ加賀のコスプレさんがすっごい目立つ。自分は機材がクロモリ重戦車なので黒森峰女学園、まぁいつもの。
チャンピオンクラスのスタートから一時間余、自分らも号砲を受ける。チャンピオンエントリー基準の1:20'以内は頭の片隅に置くが、惨敗だったツールド美ヶ原以来全く練習してないし、お盆休みツーリングはエブリデイがチートデイだったので、体脂肪率18.9%と良い感じに太っている。ゆえに目標タイムは設けないことにした。それなら序盤思い切って脚力を温存してみては。スタートラインまで25秒、その後も無理に前を追わないようにして緩い坂を登っていく。
第1チェックポイント22'19"(グロス)、やはりちょっと遅い。次スタート組の先頭集団にも抜かれ始めるが、自分もそろそろエンジンが掛かってきて人車一体、リズムに乗ってくる。こうなるともう楽しくてしょうがない。松本山雅ユニフォームの方(K原さん)を抜いてから、脳内はアルプス一万尺が流れ続ける。勝利を信じてガンガン行こうぜ、おいらの勢いは止められない。つづら折り地帯はインベタ戦法、ただしギアをこまめにインナーローと行き来させて、力を使い過ぎないように注意する。
第2チェックポイント56'41"、おっ!? 1:20'をぎりぎり切れそうな位まで盛り返してきた。自分にもまだこんな力が残っていたんだ、嬉しいなー。と浮かれたのも束の間、フロントディレーラーの操作でチェーンが内側に脱落する。「しまった!」左端にチャリを停めて降り、復旧を試みる。チェーンが深い所に嵌って5分ロスした車坂峠ヒルクライムの悪夢が頭をよぎるが、幸い20秒ほどのロスでコースの流れに復帰出来た。ただしリズムを取り戻すのにもうちょっと時間が掛かる。
おいおい冗談じゃない。脱チェンのせいで1:20'を切れませんでしたなんて言い訳できねえぞ。一気に戦闘モードになり、ハイマツ帯の景色を楽しむ余裕は無くなった。坂はあくまでキツく、1kmあたり4'30"を切るのも難しい、つまりフルマラソンより遅い。同クラス内での順位は上げ続けているのでペース配分は間違っていないはず。また昔のレーシングゲームのように他クラスの選手をゴボウ抜きする感覚を味わえるのは、年齢別スタート制の利点だと感じる。右車線は集団下山が始まっているので、薄い空気と意識のなかで気を付けなければならないが。
残り2km、1km、とうとう脚も呼吸も売り切れたか、見えているゴールが遠い。もう流れに身を任せていいよねと弱気にもなるが、道の右側が開く。後ろから抜いてくる人もいないし、私が行かずに誰が行く。もがいてもがいて、最後は突風に押し戻されそうになりつつ標高2,716mの県境ゴールを跨ぐ。手元の時計で1:20'を数秒過ぎたか・・・。でも公式記録はネットタイム制なので、大丈夫なはず。少し微妙な心境ながら、やれることはやったと自分に言い聞かせるウイニングラン。
早々にゴールしているH多さんH行さんへの報告もそこそこに、やっぱり登っておきたい富士見岳。駐車場から片道10分ちょっと歩いて標高2,818mの山頂へ。周囲の山は雲を被りがちながら、道路上からよりワンレベル上の畳平を堪能できる。これぞ非日常の絶景。風が強くて長居はできず、すぐに駐車場に戻るが。他の仲間達も集まっている。
ここでもゆっくりできず、スタッフジャンパーを身にまとって下山誘導協力員のお仕事へ。と言っても役割分担はなく、なし崩し的に集団下山に混ざる感じ。一応、困っている人がいたら顔を、じゃなくてエネルギーゼリーを分けてあげようとか考えているのだけど。今年も下りで転んで救急車沙汰があったみたい。この大会はゴールエリアでのエイドが一切無い。昔はそれが当たり前で、水と食料を自分で用意するものだった。今時の自転車イベントはサービス合戦なので、その感覚で参加すると非常に危険な状態での下山を余儀なくする。下りだって相当な体力を消耗するのだから、競技後無補給はノーヘルよりずっと危険だ。下山後に配布しているアミノバイタルGOLDゼリードリンクをゴールエリアで配布すれば、宣伝効果3倍増しじゃね?
路上にペンタックスのごついデジカメが落ちていて、危険除去も兼ねて拾っておく。落とし主はもう下山した頃だから、そこら辺の係員よりは大会本部に届けた方が良いだろう。やっとスタッフらしい仕事ができたかな。自分も無事に会場に戻り、水PETやらリンゴやらバームクーヘンやら受け取って、緊張の完走証発行。1時間19分38秒305、ホッと一安心。脱チェンで闘争心に火が付いたのが、かえって良かったかも知れない。自己ベストには遠く及ばないけれど。
宿に下りて温泉、そしてチャリはキャリアを付け直すなど通勤仕様に戻す。昼食にカレー3杯。同宿チームメンバーで記念撮影をしてからお別れ。日焼け止めを塗って、乗鞍を離脱する。たまにアレなクルマに出くわすトンネル街道だけど、波田高速(農道)まで降りればもう何も怖くない。沿道は田んぼやリンゴ畑。信州に実りの秋がやって来る。
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