スタート20秒前。チャリ載動画を撮るべくデジカメのスイッチを入れる…が反応しない。あわてて電池を入れ直したりブッ叩いたりしているうちに号砲が鳴る。何とか起動したか? そんなこんなでペースに乗り切れない出撃となった。浅間の激坂こそ持ち直すが、ちゃんと動作しているか気になってタイムを犠牲にしつつカメラを取り付け直す。何やってんだ俺。
それでも自己ベストを狙う時刻表通りには各ポイントを通過してゆく。直近二ヶ月の練習量こそ乏しいが、かつてのウルトラマラソン練習の遺産やラスト一週間の追い込みで勝ち負けになると踏んだのだ。あわよくばランドナーで夢の1:20切りも…というのはさすがに虫が良すぎるか。やはり後半になって伸びが足りない。周りのペースに呑まれちゃいけない頑張り所なのに、毎度の腰痛だ。
ハイスピードバトル区間に入り運良く、後続クラスから追い付いて来た、つまり格上の選手達のトレインに乗れた。いつもここは鳥になった気分で飛ばす所だが、今日は戦闘機になってドッグファイトをしている!
しかしそれまでだった。ラストの“死ね坂”はまるで呼吸が出来なくなり、心拍ばかり異常に高くて脚に力が伝わらない。このまま心臓発作でマイケルのもとに逝くのかという不安の中、何とかゴールに辿り着いた。
タイムは1:21'41"。トレインに乗った分、一昨年のベストを20秒だけ更新できた。とりあえず喜びの冷やしトマトを頂く。しかしカメラはいつの間にか電源が落ちていて…あれ、またスイッチが入らない。うわっ完全に水没故障してやがる。ちょうど汗の落ちる所にあるから簡易フードを取り付けていたのだけど、今日の発汗量では防ぎ切れていなかった。さんざん過酷な使い方をしてきたから今まで壊れなかったのが不思議ではあったが。
途中まで撮れていたはずのデータも救出できないみたいで、動画サイトで私が予想していた以上の人気を得たMt.富士ヒルクライム動画の続編が作れないのはかなり悔しい。もし楽しみにしていた人がいたなら済まないと思う。デジカメが壊れた喪失感も相まって、自己ベストという勝利の味は今ひとつとなった。だいたい始めっからカメラなんて付けずに今日出せる力を出せていれば夢のタイムを実現していたかも知れない。なに中途半端なことやってんだよ俺、と。
私のツールド美ヶ原はこれで終わるものではない。来月の富士登山競走をにらんで美ヶ原山頂の王ヶ頭へダッシュ〜…できない。さすがにレースとして力を出し切った後ではすぐに息が上がる。しょうがないから歩いて行こう。片道15分で素晴らしく開放的な景観を味わえるのだが、レースのついでに登頂するのは初めて。レース参加者で同様に登ってくる人も数える程しか見かけなかった。まぁそりゃそうだわな。
ハッスルHKさんやタダノブさんにお会い出来て良かった。みな良いコンディションで完走できて何よりだ。下山後自宅でシャワー&食事を済ませ、会場に戻り表彰式&抽選会。私には何もなかった。
例年はダルくてそのまま帰るが、今日は「このままじゃだめだ」みたいな妙な緊張感がある。という訳で松本市街地に降り、時計博物館を観覧することに。レース参加者用にタダ券があるし、いっぺん観ておきたかったんだ。やたらたくさんの時計がホルストの土星のように余命を刻む…という恐ろしい雰囲気ではなく一安心? 蓄音機コンサートでレコードが聴けたのも良かった。デジタル音楽が便利すぎる世の中を少し考え直したくなった。
同様にはかり資料館にも寄る。秤屋でバイトしていた時代を思い出すだけでなく、子供の頃は親のパート先とかにまだこういうのあったよなぁ、と懐かしくなるような秤もたくさん。職員の解説もためになった。
今日はこんなところで良いだろう。全てを1時間半の間忘れさせてくれたツールド美ヶ原は、やっぱり最高のレースだった。
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