「暑い…」。レース序盤に思わず口をついた言葉だ。素晴らしい好天に恵まれたのはいいが、ヒルクライムをするには少々陽が照り過ぎている。そのためか足取りも重く、中間地点のタイムが31分40秒。去年より10秒も遅いじゃないかと悔しがる。───
今日はとうとうやってきた日本最高のヒルクライムイベント、全日本マウンテンサイクリングin乗鞍の本番だ。カロリーメイト2箱計800kcalを朝食にして、いざスタート整列の前の方を確保。やれ脚の疲れや腰の不調はあるとはいえ、下界の不安など後にして思えば一切忘れていた。ただレースを楽しむだけに私はスタートを切ったのだ。
これではいかんとペースを上げると、これまで抜きつ抜かれつしていたライバルをランドナーならではのヘアピンインベタ戦法で置き去りにして、急坂セクションをクリアしていく。いよいよ樹木が低くなってきて見晴らしが良くなる頃、だいぶ足腰の疲れもピークに来て“レース”じゃなくて“サイクリング”モードにしようかと弱気になりかける。そこに現れた「あと5km」の看板。さっと頭の中で計算してみると、ハーフマラソンのペースで走れれば自己ベストと勝ち負けになる。俄然やる気を出して、むちを打つように重めのギア比でロングスパート。心肺の心配は無いし、これくらいの標高になれば涼しくて気持ち良く飛ばせる。ハイマツ帯で次々と同クラスの数人を抜き去ることにも成功し、あとはゴール渋滞に身を委ねるだけ。
ゴールで腕時計を止め、1時間16分19秒。よっしゃ去年の自己ベストを2分あまり縮めた! やたら嬉しくて、まるで優勝したかのようにガッツポーズを繰り返す。今月は精神的に凹みっぱなしだったが、まるで吹っ切れたかのように…。昨秋から何かと自己ベストを出し続ける快進撃も、ゆるみはしたが継続できた。
標高2700m。こんなところに自転車がわらわらと湧いているのも面白く感じられる。しばらくまったりしていればいい。毎度お世話になるG蕃さんは、小指で持ち上がるような軽量ニューマシンを駆って5位入賞。来年の参加申込は同じチームに入れてもらおうっと。筑大OBで同宿したT井さんは序盤で熱中症気味になったとのことだが、大きくタイムを落とすことも無くゴールした(ちなみにS浦さんは欠場)。
下山もやたら楽しい。美ヶ原の下山が雨でろくでもなかった分もあるのだろうが、標高の高い所からの景色ってすごいんだなぁ、と素直に思う。幾重もの山並みの向こうに槍穂連峰や木曽駒、御岳を遠望する。青い空に適度な筋雲。寒くもなく快適に、スタート地点へ降りてゆく。
宿の温泉にゆっくりつかってから、閉会式、そしてじゃんけん大会。景品を勝ち取ることは出来なかったが。
ここから松本市街への帰路も、まぁたかが市内移動だからとチャリで自走。疲れ身に魔のトンネル街道となったが、適当に自動車と折り合って無事帰宅。近所のラーメン屋の肉味噌ラーメンがうまい。
こうして2007年の夏は終わりぬ。
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