4/27 進め登り 雪解け雪解け 自転車通る

雪の長野マラソンを走り終えて、体を冷やしたのがマズかったか精根が尽き果てたか、走らない日々が続いた。毎年こんなもんだっけ? ようやく体調が安定してきたので、もう一つの大目標「ツールド美ヶ原」に向けて自転車でタイムアタックに出かける。

まるで力が出ない。本格的な登坂は昨年9月以来だから脚がびっくりしているし、筋トレを全くやっていなかったから引き腕が使えず、腹筋背筋が弱くてすぐ腰が痛くなる。
Utaprまだ桜が咲いている美鈴湖から少し持ち直したと思ったが、集中力も今ひとつで前を向けなくなる。武石峠からお腹が空き、ヘロヘロになって美ヶ原駐車場にゴール。1時間39分12秒と、自己ベストを狙うどころじゃないタイムで終えた。

だから、面白い。少しの補給食を食べ、ハンガーノックにならないうちに残雪の美ヶ原から引き返す。クマザサってこんなに黄色く枯れるもんだっけ?と心配しつつ。
手が異様に疲れているし雪解け水で路面が滑りやすいから、下山は慎重に。去年自転車死亡事故があったカーブには花が供えられていて、手を合わせる余裕は無かったが、気持ちだけは引き締める。

本来の趣味である自転車ツーリングに出る予定だった三連休、結局こうして松本でじっとしている。

3/29 久比岐に首ったけ

3/29 久比岐に首ったけ
天気のよさ気な有休の日、チャリで松本から北へ向かう。しかし刻一刻と酷くなっていく向かい風で、後々の行程を諦めながら明科、池田、大町を過ぎる。まだ営業しているスキー場を左に見つつ白馬に入ると、姫川沿いに下り基調。それでも遅々として進まない。小谷からは小雨模様となり、サイクリストの命を飲み込む恐怖のトンネル・洞門地帯も有り難かったりする。新潟県へ。

建設中の新幹線高架をくぐると、海だー!糸魚川は「松本の海」などと言われるが、自転車だとかくも苦労する。

ここから日本海沿いに東へのびる久比岐自転車道を走る。グランフォンド糸魚川にも使われる素晴らしい道だ。道の駅名立の風呂に入るともうすっかり夜。あまり無理をしたくない時期だし、今の自分に200km級の長距離を走る力はない。直江津で終わりにしよう。

この赤ランドナーになって初めての輪行。手間取りながらも電車に載せ、長岡で下車し組み立て。友人HA宅に泊まる。

1/13 コソッブ物語

松本市冬季最大の祭典「飴市」で福引きをするも当たらず。そのまま南に向かってペダルを漕ぐ。奈良井川沿いの不完全な自転車道を継ぎ接ぐようにして、もう通勤より遠い所に来ただろうか。そう、9月の事故以来初めてサイクリングらしいサイクリングに出たのだ。

Kutsuzawa 洗馬付近から観音寺隧道を抜け、沓沢湖周遊路へ。塩尻市最強の心霊スポット地帯らしいが、単に人があまり来ない所という風情だ。ここから小曽部川を遡るように走る。最後の集落となる奥平(おいでら)を過ぎ、小さな浄水場から先は圧雪路となった。まだ鎖骨の接合が弱く、絶対に転べない身体とあっては無理しない。ここまでで引き返す。

松本市に戻り、今井の法輪寺で厄除大祭をやっているのでお参りしていく。具沢山のけんちん汁とノンアルコールの甘酒を振舞ってくれるのが嬉しい。昨日も女鳥羽の大安楽寺にお参りしたし、これで市内の厄除けで儲けてる寺社はコンプリートした筈だ。

近くにある道の駅で玄米や野菜を買い込み、軽くハンガーノックになりつつ帰宅。距離58km、獲得標高差400mくらい。とりあえずこんなもんだ。一度は失われたサイクリングの楽しさを、少しずつ取り戻していこう。心のリハビリはまだ始まったばっかりだ!

9/16 You know YUNO○?

夜中はやっぱり冷えたので、寝袋があって良かった。朝6時半に嬬恋村大笹をずらかる。今日こそは、5月のツーリングで山を抜けられず電車で帰ることになってしまった、幻の二日目を実現しよう。

Kurumazaka 国道144号を西へ走ると、右に四阿山の植林が美しい。左折して県道94号、鹿沢温泉を抜ける。さほどキツい箇所はなく、長野県境の地蔵峠1732mに着いた。ここから素直に下りず、湯の丸林道を東へ。舗装の登坂がまだまだ続き、標高2061mが最高地点。池の平湿原越しに八ヶ岳と、見え隠れする富士山が美しい。ここから道はダートの下り坂になり、車坂峠1973mに突き当たる。佐久平の俯瞰は、もうただただ素晴らしいの一言。

さよなら群馬県。チェリーパークラインで長野県側に下山する。自転車ヒルクライムの名所で、この急坂を登ってくる人もちらほら。いつか自分も登ってみたいな。ツルヤ(スーパーマーケット)本社に隣接する小諸東店で昼食にする。ツルヤマニアの聖地?

Nunobiki 小諸は男はつらいよ等の聖地でもあるが、懐古園の再巡礼はまたの機会にして、西浦ダムを渡って千曲川左岸へ。布引観音をお参りする。これがちょっとした登山となり、残存体力に不安を覚える。石像がたくさんあり、その顔に子供たちがこわいーこわいー言ってる。昼間っから肝試しの様相か。

立科町へ南下し、中山道芦田宿から松並木を経て笠取峠900mを越える。長久保宿、和田宿も通り、心臓の負担にきゅうきゅうとしつつ標高1510m、和田峠(旧和田トンネル)を越える。下諏訪宿まで降りれば、これでようやく中山道の県内区間はコンプリートしたことになる。

旅の目的としては終了。ここで輪行するのもアリだと思ったが、あした丸一日休めるし、もうちょっと無理をしよう。夕闇迫る中、塩尻峠1012mを越える。こうして北信地方から始まった旅は、群馬県吾妻地方を経て東信・南信・中信とぐるり回り、ナイトランに突入した18時40分に自宅到着。距離や標高差は未計算だが、掛かった時間からしてもベリーハードな旅程だったと思う。何にせよ無事これ名馬。

9/15 その先の群馬へ。リベンジ編

9/15 その先の群馬へ。リベン
松本から長野まで輪行し、8時45分スタート。須坂で買い出しをして高山村へ。痛恨の失敗に終わった5月のサイクリング、そのリベンジに来たのだ。

ここから趣向を変え、舗装の県道ではなくジャリジャリダートの林道湯沢線を登る。ホイルスピンで何度も足を付き、単調なのに気が抜けない作業のような、ランドナーには厳しい坂だった。でも会ったのはクルマ1台、オートバイ2台、小さい猪1匹くらいで、空気は美味しかったと思う。13時に標高1823mの群馬県境、毛無峠に到着。

峠一帯は強い風で時折霧雲が通り過ぎてゆき、あっという間に体はどん冷え。小串硫黄鉱山跡の先の、前の自転車が眠る谷に手を合わせてから昼食をとり、一旦引き返す。

上信スカイラインで群馬県入りを果たし、見晴らしポイントに寄る。両親孝行ドライブ中と思われる方がいて、小串鉱山の話題に。「あそこから大前に降りる道はありますかねー」と聞かれ「無いです!」と断言を返す。「もしかしてあの方?」…私の記事を読んでいたらしく、つまり遭難の事も良く知っていた。なんという偶然、嬉しくなっちゃうね。

間もなく硫黄の香りが漂ってくる。万座温泉に入れるまんざ生涯なかなか無いチャンスだから、豊国館の露天風呂に入浴。見た目はただの白い湯だが、これが深くて気持ちいい。このまま泊まっていきたいくらい。

万座ハイウェーを下りられれば楽だが、自転車は通行不可。先週あたりヒルクライムレースをやってみたらしいし、少しずつ良くなっていくのかな。ともかく白根山の鞍部までもうひと登り。散策する時間はなく、霧の中を豪快に下りて、草津温泉もスルー。昔いっぺん来たし…。

毛無峠からだいぶ迂回した形で嬬恋村大前に到着し、リベンジを果たした。今度こそ、手元に自転車がある。公園にテントを張り、今回は昨日買ったばかりのダウン寝袋があるんだ。早速の活躍、と思ったら案外暑い。

9/11 鷹狩山にのぼりたがり

膝の治療も兼ねてここ2週間トレーニングは休養とし、通勤で自転車に乗る程度だった。今日久々にサイクリングに出る。

Kiritooshi 乗鞍同宿のチームメンバーで安曇野市在住のKさんと篠ノ井線田沢駅前で落ち合い、北へ向かう。天気予報は微妙だったがなかなかの天気である。明科廃線敷を少し歩いてから矢筈トンネルを抜け筑北村へ。善光寺街道の大切通しも抜けて麻績村から県道12号「アルプス展望道路」に入る。アルプスは残念ながら雲に隠れがちであるが、交通量は少なくサイクリングに好適。信州の央深部とも言うべき山の集落を繋いでいく。

Ashinojiri 北海道を旅した話など、自転車乗り共通の話題に花が咲く。下り坂以外ではほとんどしゃべりながら、旧大岡村へ。丁度今朝の新聞にこのあたりの特集があって、記事の通り芦ノ尻道祖神の表情が面白い。それにしても、大岡の中心地ってこんなに山の上にあったのかと驚く。

持参食料で昼食後、聖山を背に西へ進む。一旦国道19号に下り、布川峠を越えて旧八坂村へ向かうルート。地形が複雑で地図ではアップダウンが読みづらい。八坂中心部からまた登りで、今日合計1700mくらい標高差を獲得しただろうか、大町の鷹狩山山頂に至る。

Takagari 大町市街地が眼下、渺々左に安曇野や松本まで望める景観だけでも感動ものだ。これでアルプスまで晴れていたらもっと凄いのだろう。初めて訪れた鷹狩山は、明科の長峰山とはまた違った魅力を持つ素晴らしいビューポイントだった。

大町駅前でラン終了。輪行で大糸線に乗り込み、酒とツマミで「反省会」。列車の中で酒を飲むというのは初めてだったが、気分よく松本に戻った。帰宅後、酔いと疲れでしばらく眠る。また晴れた日に走ってみたい、良いルートだった。

さて2週間前の全日本マウンテンサイクリングin乗鞍で撮ったチャリ載動画の編集が終わり、ニコニコ動画にアップした。コースの1/3に満たない所でリタイアした為、初音ミクとのバトルをメインに仕立てたネタ動画となった。全編等倍速HD版もユーチューブにこっそりアップ

8/26 おはよう パンク

例年通りチャリで乗鞍入りし、寿家という宿で宴会。酒はかなり控えて早目に眠り、今朝に頭痛を残さなかった。1:20'切りという命題のため、体調はまずまずである。暑くて頭がぽーっとしてるけど。
名簿にT内先輩の名を見付けたが、会場は人が多すぎて探すことができなかった。まぁ仕方ない。最高の天気のもと、気負わずスタートを切る。

始めチョロチョロ中パッパ作戦、序盤は基本キープレフトでゆっくり走る。すると休暇村を過ぎた辺りで、背後からニコニコ動画で聞き慣れた音楽が流れてくる。キター!初音ミクのコスプレの人だ。衣装だけでなくクロス改造の痛チャリにも、ネギ型サドルやブレーキ位置などに工夫が見られる。だがな、前カゴを付けたチャリに負けたらランドナーが廃る。一気に目が覚めて、必死で食らいつく。ゆっくりしてる場合じゃない。これほど面白い撮影&録音対象はなかなか無いし。

Yonakimiku 激しいデッドヒートが10分余り続いた。間もなく第1チェックポイントというところで、後輪にゴリッと来たぜ。え・・・ボーカロイドが彼方に消失してゆく。よりによってレース中にパンクとか。すぐに諦めて停車し、タイヤを見るが異状なし。ここにいても仕方がないので第1CPまで押して歩く。ピンチは最大のチャンス。テレビのクルーが来ていろいろ質問を受ける。嬉々として「気合入れて練習したんですけどねー」などと大ボラを吹きまくる。多分オンエアには採用されないけど、美人レポーターと話せただけでラッキーじゃないか。

3bon という訳で、2012年の夏が終わった。せいぜい三本滝で観瀑と洒落込み、また押し歩きでスタート会場へ戻る。これは時間が掛かって少々参った。でも手元に自転車があるだけ群馬彷徨の時よりマシなのだ。ああ、サービスのスイカが旨い。
下山最終組の後に頂上行きバスに預けた荷物が戻ってくる。ようやくチューブ交換を済ませて「乗れる自転車」になった。宿の昼食に間に合わせ、それが済むと集合写真を撮って解散という流れになる。自走で帰る私は「心配だ」と言われるが、こちらから見ればクルマの方がよっぽど心配。しばらくトンネル地帯の渋滞をすり抜けたりすり抜けなかったりしつつ、島々を過ぎれば波田高速を使って快適に帰宅。

記録が良かろうが悪かろうが、普通に完走することがいかに嬉しいことか、こういう経験があると身にしみて分かるようになるかもしれない。しかも今日は数年に一度の絶好天だったからね。もうちょっと悔しがれよ自分。あの高みに僕は、行かなかった。

8/16分 北海道で見る夕日は これが最後ねと

Ganbou 風の強い早朝。公園裏手の長い階段を登ると、遠軽の象徴である瞰望岩の頂に立つ。まだほとんど眠っている町を一望でき、石北本線のスイッチバック線形もよく分かる。かつては北に続いていた名寄本線に思いを馳せ、下山して出発。サイクリング最終日も、消失点まで続く一直線の道を走る。

Yuubetsu 1時間もすれば湧別の町を抜けて、ついには港に突き当たる。少し東にシフトして浜に出れば、そこは一面のオホーツク海。旅の予備日としての蛇足ではあるが、これも見たかったんだ。頭の中に長渕剛の『オホーツクの海』が静かに流れる。あるいは斉藤清六が「オホーツクオホーツク♪」と歌う一正蒲鉾のCMソングとか。テトラポッドに登って、カムチャツカのてっぺん先を睨んだり、気まぐれな恋人の夢を見たり。右手はサロマ湖の砂嘴が緑色に続くが、知床連山までは見えないか。左手は目を閉じれば樺太が見えるし、海に背を向けて両手を広げれば「こっからこっちが北海道〜」…と言うにはそうとう大きく広げる必要がある。

あとは帰るだけ、って時に本降りになる。雨中走行こそランドナーの真骨頂と言えど、あんまりずぶ濡れのまま輪行するのはブルーだなぁ。と思ったら遠軽まで戻ると止んでくれた。本日走行50km、ここの駅にてサイクリング終了。若干チャリを乾かしてから輪行し、キオスクで土産を買って10:18発の特別快速『きたみ』に間に合わせる。これを逃すと、以降間に合う列車は特急しかなくなるため、昨日急遽無理して距離を稼いだんだ。北海道&東日本パスによる帰路が始まる。

ぽっかりと時間的余裕が出来たので、どこか乗ったことのない路線を使ってみよう。時刻表とにらめっこした結果、旭川から富良野線に乗ることにした。やがて美瑛駅に到着し、乗り継ぎの列車までまた時間がある。自転車を畳んでしまっても、私にはジョギングという脚がある。裏手の丘を駆け登って行くと『ケン&メリーの木』が立ち、美瑛らしい丘々の景色にマッチする。続いて北西の丘展望公園も寄り、天気は今ひとつだが駅に戻るまで気持ち良く駆け抜けた。

Ishikari 富良野駅周辺も少しぶらぶらして、根室本線で滝川へ。あとは普通に函館本線で札幌へ向かう。遥か西の空が晴れていて、神々しい夕焼けになっている。私はこの車窓をずっと覚えているだろうか。

暗くなって苗穂で途中下車。駅前に蔵の湯という銭湯があり、食事セットが安いのでここで夕食にソースカツ丼を食う。風呂で昨日今日の汗も流した。札幌駅に移動し、急行はまなすを待つ。帰りは大枚はたいてB寝台を取った。旅情はまさにブルートレインそのもので、殺人事件とか起きたらどうしましょう、キャー!

22:00発。さぁ北海道はまだまだ長いよ。

8/15分 三国の四方を走るべし

Taushu 標高があるせいか、前線南下で秋風が入っているのか、とても寒い夜だった。前回の旅で失った自転車やテントを買い戻して何とか実現したこの北海道だが、資金不足で寝袋が無い。出来るだけの重ね着をしても耐え切れず、朝4時にギブアップして朝食にする。6時前には糠平を出発して北上。申し訳ないくらい良い天気だし、チャリのスピードは旧国鉄士幌線のアーチ橋梁群を見て回るのに丁度良い。クライマックスは湖の対岸から遠望するタウシュベツ橋梁。季節により水没を繰り返し、古代遺跡のように枯化している。幌加駅跡には線路とホームが残されているが、周囲に人家は全く無い。

Mikuni 終着の十勝三股駅も、かつて人口1500を擁したと云うが今はレストランが一軒あるのみ。ここから登り坂が本格化し、標高を700m、800mと上げてゆく。圧巻は原生林にかかる松見大橋。人口30万都市があってもおかしくない十勝三股盆地は、見たこともない広大な樹海である。かつては湖だったりしたのかな。周囲の山々もよく見渡せて、心に刻まれるよう。まもなく北海道の車道峠最高所、三国峠1139mに到達。カロリーメイトを早目の昼食にして、日本海・太平洋・オホーツク海の分水嶺である三国山の近くをトンネルで抜ける。

これで所期の目的は達した。あとは上川にでも下りて、列車に乗って帰ればいい。しかしもう一日、予備日を設けてあるのだ。という訳で大雪湖まで下りたら東に折れ、国道39号で石北峠1050mに登る。昔走ったことのある道だがすっかり記憶が薄れているし、峠も俺の知ってる石北峠と違う(後で調べたら建物は一度全て焼失したらしい)。売店は案外良心的な価格設定で、格安な土産物が目に付く。自分はカルビ巻き200円と、ソフトクリームトリプル500円を食べる。このソフトクリームは旨くなかったが。

冷えた腹で、北見地方へ豪快に下りてゆく。何だかこの道、三才山トンネルの東側(上田市)にイメージが似てるんだよね。全然広いはずなのに。温根湯温泉で口直しにまたソフトクリームを食い、大江本家の風呂に入る。おお、広くて良い感じ。キャンプ場もあるし今日はここまで、と考えていたが時間はまだある。脚が「走ってもいいよ」と言うので、もう少し頑張ることにした。向い風にめげずアウタートップで留辺蘂手前まで下り、左折して国道242号を北上。追い風に助けられつつ金華峠360mを越え、ランドナーらしからぬハイスピードでぶん回す。

年に数度のマラソンや自転車ヒルクライムレース、またそれに向けたトレーニング。何のためにやってるかと言えば「より自由に旅を楽しむため」って理由が大きい。今こそその成果を発揮する時だ。生田原の街を抜け、間もなく遠軽…って所で力尽きた。ソフトクリームの腹持ち悪さを甘く見ていたぜ。仕方がない、カロメ半箱でエネルギーを補給し、スローダウンしてようやく遠軽の街に入る。

Ganbou 買い出しを済ませ、少し暗くなってきた。駅前の地図によれば丘の上にキャンプ場があるようだが、もう登る気力がない。瞰望岩(がんぼういわ)の真下にある公園で、ゲリラ的にキャンプする。こういう時に緑色のフライシートだと、目立たなくて良い。夕食はまたもやし入り麻婆豆腐だが、ひき肉も炒めてもう少し料理らしくする。本日は走行距離156km、獲得標高差1000mほど。存分に走って、北海道サイクリングが終わりつつある。あと数日続けられれば…とも思うが、米は使い切ったし帰りに乗る列車も決まっている。
いろいろ、どうなったかなぁ。ネットとかメールとか。毎日毎時かじりついていた先週までの過去が懐かしい。

8/14分 ナイタイの風になりたい

雨を降らせていた前線は南へ下がり、雲の隙間から青空が見えてくる。これはきっと素晴らしい一日に、いや素晴らしい夏休みになりそうだ。はやる気持ちを抑えて濡れた荷物を乾かしたり、チェーンに注油したりする。朝7時半出発。

Treehouse 気が付けば旅程はもう中日。国道241号は相変わらずの直線道路で、始めちょろちょろ中ぱっぱと走ってゆく。上士幌町に入って西に折れると、ナイタイ高原牧場の道に入る。つい下世話なスポーツ新聞を連想する名前だが、それとは無関係のアイヌ語が元で、日本最大の公共牧場らしい。昨夜の雨でまた通行止なんてことはなく、入口が開いてるのを見て一安心。ピストンコースになるけど、対乗鞍トレーニングを兼ねて重い荷物を積んだまま、敷地内の丘を登る。

Naitaitop 「これは現実なのか?」と疑って眼鏡を外すほど、緑の草原と所々の樹木が美しい。古いファンタジーゲームだがハイドライド3のフェアリーランドに迷い込んだようだ。ゆっくり登ってどこでも停めて、ぼうっと風景を眺めたり写真を撮ったりできるのは自転車の特権。それにしては他のチャリダーを見掛けないけれど。
やがて標高800mのレストハウスに登り着く。牧場を一望し、麓に広がる平野は安心のとかちブランド。さらにその背後には道東の山々が連なる。ここではもう、お金を使っちゃおうね。『メガドック・煮込みハンバーグ』780円。そうそう、こういうの食いたかった。さらに『どら焼きサンド』450円。こちらは焼きたてなのは良いがすぐにソフトクリームが溶けてしまって、急いで食う必要があった。

4thbridge 名残惜しく丘を下り、街で買い出しを済ませ、国道273号を北へ行こうランララン。見ろよ青い空白い雲、サイコーの旅だ。十勝平野縦断を終え、北海道の中枢部たる山岳地帯に入っていく。時々並行する国鉄士幌線のアーチ橋梁跡は、その上に木々が生い茂っていて、無常な美しさに息をのむ。いくつかトンネルを抜け、ぬかびら源泉郷に到着。

まだ14時だけど、今日はここまで。85km走行、獲得標高差1030mくらいか。キャンプ場にテントを建てておき、サンダルを履いて散歩に出る。糠平湖を見て、鉄道資料館を見て、温泉街をぶらぶらして、風呂は中村屋を選択。\中村屋/。古い銭湯みたいな男女別内湯と、男しかいない混浴露天。ロビーではエスプレッソを頂いて本を読んでまったり。夕食はレトルトハヤシに、レトルトハンバーグ3ヶ一束の。昼食に比べると味は大幅グレードダウン。だけどご飯は一番上手に炊けたよ。

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