7/10 アチチッチ アチチッチ お熱いお湯に
普通に生きていたら一生乗ることの無い“富山地方鉄道不二越・上滝線”を制覇しに行くか、とっとと先を急ぐべきか。どうしても自分の意思で決めることが出来ず、足の向くままに任せる。
すなわち地鉄は諦め、高山本線で南へ向かうことにした。まぁあまり鉄分が濃い旅にするのもね。2両編成の気動車は朝の通学でごったがえす。それも越中八尾を過ぎるとようやくローカル線の風情へ。車窓には富山自慢の北アルプス連峰が横一列で、劔岳や立山が確認できる。今日はあまり晴れて欲しくないんだけどな。
まもなく列車は深い山間に入り、猪谷駅に到着。近くには猪谷背斜向斜という地学マニア垂涎(?)のスポットがあるが、なんか漫才師の名前みたいだな。高山本線はここから先、災害による不通が長引いており代行バスになる。誰も乗らずに出発していったけど。
自分はそれよりも、神岡鉄道に乗るのだ。この第三セクター線はもうすぐ廃止になるという、風の噂に ひとり来て。ディーゼルカー恋しい 奥飛騨路♪。松本から峠を一つ隔てただけの場所にあるのに、未乗車のまま終るなんてヤダ。(しっかし長野電鉄木島線・のと鉄道能登線・ちほく高原鉄道ふるさと銀河線と続き、廃止間際を冷やかしに行くなんてロクな趣味じゃないな。)
乗客は自分以外に趣味系が一人だけ。なにやらメモを取っているので「乗客は自分以外に趣味系が一人だけ」なんてことを今夜のブログに書くつもりなのだろう。単行の気動車は“山の地下鉄”の異名の通り、しばらくは長いトンネルばかりを抜けて行く。川沿いの法面も「コレ、廃止日まで持つのか?」と思わせる箇所がある。
岐阜県旧神岡町内の数駅を経て、終点の奥飛騨温泉口駅に到着。さよなら神岡鉄道。さて次のバスは…3時間半後。全然“奥飛騨温泉口”の役目を果たしてないじゃん。まあいい、町内を歩こう。鉄路を逆に辿ると、高原川からかなりの高さがある神岡大橋の欄干には「ちょっとまて 明るく生きる 道もある」という標語が掲げられている。神岡鉄道に言ってやれよ。
所々にある湧き水で喉を潤しながらさらに歩く。予報に反して暑く晴れてしまったので、水がなかったら苦しかっただろう。そこそこの賑わいがある中心部を抜け、神岡鉱山駅まで歩き戻った。ここでまた引き返し、もうたっぷり町を一周して奥飛騨温泉口駅に到着。七夕飾りの短冊の一つには「かみおかてつどうが しんかんせんになりますように」と書かれている。校門前に新幹線のホームを造らせると言うどこぞの中学校長を思い出してしまった。その夢は絶望に変わるだろう。
奥飛騨温泉郷行きのバスには、老人4人が乗っていた。前方には焼岳がそびえている。揺れが気持ち良くてウトウトしたら頭がボタンを押してしまった。「すみません、次降りません!」
降りたのは栃尾温泉。日本人の心に刻まれているド演歌“奥飛騨慕情”では「♪ああ、奥飛騨に雨が降る〜」と唄っているので、まさにその情景を期待していたのだが、残念ながら空は泣いてくれない。
川岸の遊歩道を歩いていたら、おもむろに露天風呂がある。荒神の湯はそんな公共浴場だ。料金は志納だが200円とはっきり書いてあるのでそれをポストに投入してから入浴。
入浴できません!!! メッチャクッチャ熱い。足だけ入れても刺すような熱湯だ。こういうのが得意なつもりな私でも、肩まで浸かるのはほぼ不可能。腰までなら30秒まで。露天べりで桶で体に温泉を浴びせつつ熱さに慣れるのを待つが、それでも無理。他の客が「いつもはこんな熱いことないのに」と言っていたので、月曜日だから管理されてなかっただけかも知れない。とにかく足が真っ赤っかになった。腕は日焼けで真っ赤っかだし。
予定より早くなってしまったがまたバスに乗り、笠ヶ岳を望む平湯温泉バスターミナル着。次の松本行きまで2時間近くあるョどうする。調べてみると、近くに平湯大滝というのがあるので行ってみる。松本市の縁から3kmほどの所に日本百名滝があるなんて知らなかった。20分ほど歩くと、落差64mという瀑布が鎮座している。何が凄いって、滝を写真に撮る時は普通カメラを縦に構えるものだが、ここでは横に構えたくなる。そんな滝壺の空間の広がりに、予定外の満足感を得られた。
高山発松本行きのバスがやってきた時は誰も乗っておらず、ここで私ともう一人が乗車したのみ。すまねえっす。
というわけで、バス代が合計いくらしたかなんて計算したくないが松本に帰ってきた。たった一泊だったのにえっれー久々な気がする。
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