前夜の体重が61.1kg、体脂肪18.7%…。サブスリーを狙うランナーとしてはあるまじきだらしのない体型になってしまったが、登録チーム名が「チーム重戦車」だしまぁいいか。松本発の始発列車でウトウトしながら長野へ向かい、北長野駅からウォーミングアップを兼ねて小走りでスタート会場へ急ぐ。本来間に合わないはずのこの列車で、ギリギリ手荷物預け・手洗い・スタート行列に間に合わせた。
目標はもちろん3時間切り、そして上位3%入り。それとは別に、客観的かつシビアに考えた予想タイムとして2時間52分台を設定。あくまで目標ではないから、調子をみながらベストを尽くそう。暑くも寒くもない曇り空、風向きはコース全体としては有利な東風吹かば。今一斉にスタートである。
スタートラインを越えるまでに52秒。その後1km区間は遅い陸連登録選手を縫うようにかわす。ようやくばらけてきて、今度はペースが乱高下。ある速い人に一生懸命食らいついていたが、呼吸が苦しいし早くも脚の筋肉がこわばってきた。ダメダコリャ。突拍子も無いような大幅記録更新は諦めて、少しペースを落ち着かせよう。それでも自分のペースを厳守するよりは誰かを風よけに使う事を優先しつつ。
4分5秒/km前後のペースを刻みつつ中間地点を過ぎると、序盤付いていくのを諦めた人が大幅にペースダウンしてきて、あっさり抜き返せた。これがマラソンというもの。自分は途中3本ものパワージェルを服用してスタミナ切れを防ぐが、昨日今日と胃腸を酷使し過ぎているので腹痛が悩ましい。対策としてゼッケンをなるべく腹の下の方に付けているのだが。また、やはり履き慣れないシューズは足裏が痛いものだ。我慢がゴールまで持つだろうか。
千曲川を岩野橋で折り返すと向い風セクションになる。ここで一人旅になってはいけない…のに、ちょっ、周りのみんなペース落とし過ぎ! 仕方なく一人で頑張っていると、追い上げて来た選手が私をかわす。大事な風除けさん、突き放されてなるものかと必死で食らいつく。向い風セクションが終了し、終盤の難関“松代大橋”を登り切るあたりで気持ちロングスパートをかけ逆に突き放しにかかるが、今度は別の選手が食らいついて来た。サブスリーは安全圏に納め、終盤でもまだ脚が動いているのだから今年は巧く走れている。だが順位争いは最後まで熾烈なのである。
それに精神力が前回までのマラソンより弱っているのか、自分を苦しみの極地へ追い込めていない気がする。もっとベストを尽くせよ! ラスト1kmでもう一段ギアチェンジ。もう意識がぶっ飛ぶんじゃないかという恐怖との闘い。これだよこれ。世の中にはもっと苦しい思いをしている人々がいるんだ。それに今、自分より周りの人々の方がもっと苦しいに決まっている。だから耐えろ、負けちゃ駄目なんだ。一人一人じわじわと撃墜しながら、でも相変わらずさっきの選手に食らいつかせたままでオリンピックスタジアムへ入場。柔らかい人工芝を味方につけてもう2人ほど抜きにかかるが、相手も相当な実力者。その後方になってしまったが、長野マラソン3回目にして初めて両手でガッツポーズ、さらにスリーピースまで決めてゴールイン。
やった!!
記録は2時間53分51秒、ネットで辛うじて2時間52分台といったところ。そんな細かい事より、ここナガノの難しいレース展開を、力を尽くして戦い切った。結果を出せた。それが嬉しい。松代大橋から争ったさっきの選手と健闘を称え合い、クールダウンしつつスタジアムを後にする。
あとは賑やかな出店ブースでまずいフードを食い漁ったりエロダンスを鑑賞したりと、お祭りムードを存分に楽しむ。腹痛なんて我慢すりゃいいじゃん。
でもボリュームゾーンがシャトルバスを混雑させる前にここを離れねばなるまい。さよなら、そしてありがとう長野マラソン。
「市民ランナーの夢」「市民ランナーのあこがれ」と云われるサブスリーはある程度の余裕を持って達成できた。しかしやれペースがどうのスピードがどうのと、持久力を活かす趣味としては別の方向に行ってしまったように思える。あっという間に終わっちゃうし。もう、記録にがっつくのはこの辺でお開きでいいんじゃないだろうか。今日までのトレーニングと実戦で培った経験リソースを、他の何かに活用する道を考えてみては…。
でも、私のマラソン趣味はもうちょっとだけ続くんじゃ。
最近のコメント